飴玉ボーイ！ (ページ4)

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｢いや待って無理だって｣

そうは言いながらも広げた手のひらに
ジャラジャラと増えていく小銭

よろしくね！なんて輝いた友人の笑顔が
いつもに増して腹立たしい。

ジャンケン負けたからって！
5人分(自分含め)のジュース買ってこーい！
これはいくらなんでも鬼畜すぎる。

と小声で愚痴を零しながら
手のひらで踊る小銭を握りつぶして足を進める。

しかも教室から一番遠い自販機にしか
置かれていないジュースを強請る奴のせいで非常に面倒臭い。

｢ったくー、何なのよもう｣

人家が少ない自販。

小銭を入れては光ったボタンを押し込み
その繰り返しで
傍から見たらパシリだと思われてもおかしくはない。

ある意味この自販で正解だったのかもしれないなあ、なんて苦笑しながら大量のジュースを抱き抱えると

収まりきらなかった缶ジュースが腕からこぼれ落ちて鈴の音のように響いたと思えば虚しくも落下した。

｢うわっ、最悪……｣

不自由な両手に苛立ちながらも
膝を折りたたんでかがもうとした、その時だった。

目の前から伸びてきた白くて細くてしなやかな腕がそれを阻止する。

驚いて目線を上げた時には
見蕩れるほどに美しい二つの瞳と視線が絡む。

切れ長でそれにしてまっくろな瞳孔に揺らいでいた何かはきっと私を心配していた。

｢大丈夫ですか？｣

｢えっ、……ぁ、｣

こんな綺麗な人、いたんだ。

薄ピンクのくちびるが動いて
覗かれた顔が少し熱い。

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