君のフラワーギフト【田中龍之介】

◎ ページ25

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少し猫背になった田中の両手を

掴んで背伸びをした。



チュッと音はしなかったけれど

しっかり左頬にできた。


田中はその瞬間すごくいい笑顔になった。


私はこの先もこの笑顔にやられるだろう。


「Aのスパイクは強烈だ」


「なにその例え。じゃあもうやらない。

彼氏に強烈なスパイク当てらんないもん」


「あー！トス！ふわっとしたトス」

「えー？それ田中が打っちゃうじゃん、

誰かに飛んでっちゃうよ」


あʺーーって頭を抱える田中を見て

笑ってると集合がかかった。


「あと2日がんばってね。

私のはトスじゃなくてキスだよ。

トスはセッターにもらってね」


「おう、おつかれ」


田中は手を振って走ってった。

バレー部の皆も私に手を振っていた。








甘える田中は私しか知らない。


さっきの

"がんばれってキスして"

は今の所一番可愛い。私にとっては。



3日間のバド部の合宿が終えた。


私の失恋はたった1日で終えて、

恋が実って3日目。




ゴールデンウィークが明けたら

田中に部活の予定を聞こう。


デートもしたい。



そんなことを考えながら

自転車に乗って帰路に着いた。




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