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サイドテーブルの上に置きっぱなしにしていたスマホが着信音を響かせる。
チラリと時計を見やれば２４時を優に超えていたので、普段であれば無視をするのだが、念の為にと発信元を確認して驚いた。
[ キムミンソク先輩 ]
画面に表示された名前を見て息を呑む。
一瞬にして頭の中は疑問符で埋め尽くされる。
社用携帯が支給されている為、仕事関係の連絡ならそちらにしてくるはずだし、なにより真夜中に連絡を取り合う程の仲ではない。あれこれ考えていると音が止んだ。
はぁ… と溜め息が溢れる。
間違いだったんだ、そうに違いない。
そもそも彼が私に何の用があるというのか。
小さく点していたベッドに付属しているライトを消して眠りにつこうとした、その時。
再び鳴るスマホ。画面にはやはり先輩の名前。
もしかして何かあった？ そう思ったら、無意識に手が動き、電話に出てしまった。
｢もしもし｣
｢………… ｣
｢あの、先輩？｣
｢………… ｣
｢先輩どうしたんですか？何かあったんですか？｣
｢………… ｣
呼びかけても反応がなく、焦りが出てくる。
事件や事故に巻き込まれたのではないかと、突拍子のないことまで考えてしまう。
｢先輩、聞こえてたら返事してください！せんぱ… ミンソクさんっ！｣
｢A……たい……｣
｢ミンソクさん？！｣
｢今すぐ会いたい｣
｢……え？｣
朗々とした口調でとんでもないとこを言い出した彼に対して反応出来ずにいると、電話口から別人の声が聞こえてきた。
｢あ、もしもしジュンミョンだけど｣
｢ほ、本部長！？｣
｢ミンソクの奴かなり酔っちゃって… 目離した隙に電話してるんだもんビックリしたよ… って、Aさんの方が驚いてるよね、本当にごめんね｣
｢あ、あの、ミンソ… 先輩は大丈夫なんでしょうか？｣
｢うん。本当に酔ってるだけだから大丈夫｣
｢そうですか、よかったです｣
｢ミンソクは俺が責任もって家まで連れて帰るから心配しないでね。Aさんはもう休んで｣
｢わかりました。お気を付けてお帰りください｣
｢ありがとう。こんな夜中にごめんね、おやすみ｣
ツーツーツー、と通話が終わった事を知らせる電子音が聞こえてきてもスマホを握ったまま動けない。
“ 今すぐ会いたい ”
先輩の言葉が頭の中を支配して、とてもじゃないが寝られる気がしなかった。
→
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作者名：ココア豆乳 | 作成日時：2021年7月1日 17時
