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｢ウチのチームに新しく入った碧生Aさん｣
｢本日よりこちらの部署で働かせていただくことになりました碧生Aと申します。何かと不慣れで、ご迷惑をおかけする点も多いと思いますが、よろしくお願いいたします｣
パチパチと疎らな拍手がルーム内に響く。
柄にもなく緊張しているのか妙に喉が渇いていて声が上ずった気がした。
｢みんな、よろしくな。じゃあ、今日も一日頑張りましょう。…… あ、ミンソクは残ってくれ｣
上司の言葉で、集められた社員は一人を除いて、ちりじりに自分の席へと戻って行く。
｢彼はキム･ミンソク。歳は君より二つ上だけど彼ならコミュニケーションも取りやすいと思う。仕事に慣れるまでの間は教育係をしてもらうことになってるから、遠慮せずに頼りなさい｣
｢キム･ミンソクです。Aさん、よろしくお願いします｣
“ キム･ミンソク ”
この国では珍しくもなんともない、ごく普通の名前。
それこそ同姓同名の人はごまんといるだろう。
｢……こちらこそよろしくお願いします｣
｢Aさんのデスクはミンソクの隣に用意してあるから案内してもらってね。あと、そんなに堅くならなくても、ゆっくり慣れていってくれればいいから｣
｢ありがとうございます｣
｢じゃあミンソク、よろしく頼むよ｣
｢はい｣
丁寧に会釈をしてから立ち去る上司の背中を見つめながら、隣に立つ彼の射るような視線に気付かないフリをする。
とてもじゃないが “ 気まずい ” なんて簡単な言葉では言い表せないこの状況。
ああ、神様。私がいったい何をしたっていうのですか？
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作者名：ココア豆乳 | 作成日時：2021年7月1日 17時
