貴方の。 ページ49
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「市長、そんなに心配なら見ていらしたらいかがでしょうか。」
シビラがいきなりそんな事を言い出した。
昨日の夜、AのGPSがずっと港の廃ビルで留まっていたのが気になって廃ビルを見に行ったらあり得ない光景が広がっていた。
誰かが出て行った小さい血の足跡があったが、そんな事よりも、とAの名前を叫びながらAを探し出した。
見つけたかと思えば、ソファーでぐったりとしたAがいて、オレは異常に焦りAの肩を揺らした。
少し呻き声がAから聞こえた。
急いでシビラに連絡し迎えに来させた後、病院に行かせた。
Aはまだ病院のベッドの上で寝ている。命に別状はないから、明日には目覚めるだろうとのことだった。
「大丈夫だ。」
Aだけに時間を取れない。後の予定に支障がでる。
そう伝えれば、シビラは予想外の答えを言った。
「市長、お言葉ですが………私は“あなたの秘書”です。一時間程度の時間なら私にかかれば簡単に作れます。ですので、どうか……お任せを。」
その言葉を聞き、渋々と病院に向かい、Aの顔と状態を医者から聞いて酷く安心した自分が居た。
Aの隣に座れば、まだ夢の中にいるAが見えた。
「早く仕事に戻れ……。オレに恥をかかせる気か、A……。」
シビラにあんな事を言われてしまって、オレはこの黒い天使に相当なまでに堕とされてしまっている事に気が付く。
オレは静かに寝息を立てているAに顔を近付け、彼女の前髪を掻きあげると彼女の額にキスを落とした。
「もう来ない。」
だから早く帰って来い、とAには決して届かない声でそう伝えると市長官邸に戻った。
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ザックの嫁 - 海野水さん» そうかアッチの漫画か (2020年4月20日 16時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
海野水(プロフ) - なんさん» そう言っていただけると嬉しいです!更新頑張ります! (2017年11月21日 15時) (レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
なん - めっっっちゃ面白くて好きです!更新頑張って下さい!! (2017年11月20日 23時) (レス) id: 3c106edcc9 (このIDを非表示/違反報告)
海野水(プロフ) - レミリさん» えっと、髪は肩あたりですよ! (2017年11月10日 15時) (レス) id: 580090c27d (このIDを非表示/違反報告)
レミリ - 海野水さん» あの、主人公ちゃんの設定ってあるのでしょうか?プロローグからすると黒目黒髪と言うことは解るのですが… (2017年11月9日 21時) (レス) id: dac35e96f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海野水 | 作成日時:2017年9月15日 13時