【被虐のノエル】戻れなくなった天使。〜序章〜

本当になんでこんな事を言ってしまったんだろう。 ページ27

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「速くしろ。」


そうだろうとは思ってたけど。

そうだろうとは思ってたけど、そんな絶対零度かのような目で言わなくても……。

私は静かに隣の助手席に座る。あ、結構気持ちいいかも。

そう思いながらチラッと市長さんの方を見る。


……律儀にシートベルト付けてた。

何か意外だわ、と思いながらシートベルトを付けた。


「その本は、お前の大切な何かなのか。」


いきなりだな、なんて思いながら膝に置いてある本を見る。


「……もしかして市長さん、この本の事言ってますか？」

「ああ。いつも手に持ってるだろ。」

「大切じゃないですよ、押し付けられたモノですし……」

「押し付けられた……？」

「本屋のおばさんに、見えるんだったら貰ってくれって言われたんですよ。」


そう言って市長さんに本を渡すと市長さんは中を見だした。

数秒、首を傾げていた市長さんは、

数分すれば、諦めたように私に本を返した。


「お前には文字が見えるのか？」

「え、はい。」

「……お前にしか見えないのか。」

「恐らく……？いや！絶対に見える人はいますって！」

「例えば？」

「た、例えば……？……書いた人、とか？」

「その人物はドコに居るんだ？」

「え、知りませんよ。そんなの」


二人の間に沈黙が流れる。

何で自分はコレを言ってしまったんだろう、という後悔が頭の中で流れる。

すると、溜息を吐いた市長さんは鍵を回してエンジンを付けた。

もう行くらしい。


「また後で詳しく聞く。」

「ハイ。」


本当に何で自分はあんな事を言ったんだろう。

ネックレスを。→←いよいよ。

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