プリムラ 3 (ページ41)

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浮気 m.k ページ41

本髙克樹

これって浮気になっちゃうのかな？

「俺でしてみますか？キスの練習」

「だかさんは、大光以外にこんなふうに触れられてドキドキしちゃうんですか？」

「やばなじゃなくて、黎って言ってください。」

最近、矢花の一言一言にドキドキしてしまう。矢花のことは頼れるメンバー、気の合う友達としか見ていなかったから、こんな男の人っぽい胸きゅんセリフとか言えるんだな……って変な気持ち。あと基本敬語(最近はタメ口でも話してくれるようになったけど)の矢花だから、年上年下の年齢関係がはっきりしててちょっと駄目。

大光以外にこんなふうにどきどきしちゃったりするの、初めてだから怖くて。
こんぴに言った通り、俺は大光にしか恋愛的な好きという感情はないんだけど。普段とは違う矢花に色々感じてしまう。

大光と付き合っているのに、矢花にドキドキしちゃうなんて俺駄目な人なのかな。浮気？とかになっちゃうのかな……

大光にはもう悲しい顔させたくない。もし矢花と二人の時に大光がその光景を見ていたら……と思うと、怖くて必死に気持ちを隠す。
矢花や他の人からしたら、俺は慣れてる？ように見えるのかもしれないけど、本当はすごい緊張してるし、矢花の顔綺麗で近づくとびっくりしちゃう。

さっきだって。
大光と同じ好きです、って。

俺が大光を好きなように、矢花も俺のことが好きなのかな。

俺が大光に触れたいと思うように、矢花も俺に触れたいと思うのかな。

矢花が本当に俺のことを好きなのかはわかんないけど……。

あっ、でもこんぴがこの前矢花も見てあげてねって言ってたな。あれどういう意味だったんだろう。

さっきの可愛いも若しかしたら本当に嫌だったのかな。
まだ矢花彼処に居るかな。矢花にドキドキして、早くこの場所から離れたくて逃げるように楽屋の方に来ちゃったけど。

くるりと体を動かし、またさっきの場所に向かう。

自販機の前のソファ。
ほっそい影が見える。

「やばな！」

「……だかさん？」

目を大きく見開いてびっくりしてる顔。その顔が面白くて、またふふって笑ってしまう。

「だかさん、俺のことからかってるんですか？」

「からかう？違う、可愛いって言ってごめんね？」

「え？そんなこと？」

「そんなことって！矢花、すっごい悲しそうな顔してたから……」

あ、まただ。
矢花の手が伸びてくる。

　