プリムラ 3 (ページ40)

今日:1 hit、昨日:26 hit、合計:43,535 hit

伝える③ y.r ページ40

矢花黎

「だかさん」

「ん？……って、なんか怒ってる？」

「だかさん、俺は大光と同じような好きって気持ちをだかさんに抱いてるんです。遊びじゃない、本気なんです。」

「や、ばな……？」

ああ、俺って最悪だ。こんぴごめん。また俺はだかさんを怖がらせてしまうかもしれない。でも、歪んでるかもしれないけど、だかさんの怯えた顔がいちばんすきだ。違う。今は俺の好みとかじゃなくて、だかさんに振り向いてもらうにはいつもの俺じゃ駄目。ちゃんと強く言わないと。

「大光がいるからだかさん無事だけど、いなかったらこうやって押し倒すことだって簡単に出来るんですよ。」

「やばなだめ」

自販機前の談笑スペースみたいな所に押し倒すと、だかさんはちっちゃい抵抗だけしてくる。本当に駄目だと思ってるのかなこの人。でも、がくがくしてる。

「だめって言うなら、逃げればいいじゃないですか。」

「いじわるしないで」

だかさんにとって、俺がこうやってキスしたり顔を近づける行為は全て「意地悪」と捉えられているのか。悲しい。いつになったらだかさんに男としてみてもらえる？

きゅって目つぶっちゃうの可愛い。きっと子供の頃から、そういう癖があったんだろうなとか……待って今の俺めちゃくちゃ気持ち悪い。

ていうか押し倒したはいいけど、ここからどうすればいいんだろう。大光なら多分ちゅっちゅとしてると思うけど、俺にはそんなこと出来ない。恥ずかしいとかそういうのの前に、だかさんは大光の恋人だから。

「や、ばな。ちょっとこの体勢きつい」

「あっすみません。」

急いでパッと手を離すと、だかさんはふふって笑う。なんだろう……やっぱりお遊びだと思われてる？

「矢花なんか可愛いね」

「……可愛いですか……。」

「うん。」

「あんまり嬉しくないですね」

なんでー！せっかく褒めたのに！って。俺の頭の中のだかさんは、もう少しシャイであわあわしてて矢花やだ！みたいな抵抗とかしてくるのかと思った。でも実際のだかさんは全然そうじゃなくて。完全にだかさんは俺のことただのメンバー、友達としか思ってないんだなって。普通に悲しいですよ。

　