プリムラ 3 (ページ34)

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朝 m.k ページ34

本髙克樹

大光に頭を撫でられる。かと思ったら、目がチカチカしてぱっと目を瞑る。次に目を開けた時には大光が居なくなっていた。暗くて怖くて狭い場所にひとりきりだった。大光、大光、大光……

「たいこーーーう！！！」

掴めない大光の手を掴もうとしたら、ひっくり返ってどこかに落ちてしまった。
ここ何処だろうと目をキョロキョロさせると、

「大光！？」

「大光ごめんなさい」
「お前本当さ……いきなり大声出すなって。防音壁だから大丈夫だけどさ。」

さっきのは夢でした。起きたらいきなり大光が居ました。いや、居たのは俺でした(？)。やばい、なんか昨日の記憶が無い。あと頭が痛いしまともに考え事もできない。俺はなんで大光の家に居るんだろう。

「お前これから酒飲むな。」
「え！なんで」
「お前は知らないかもしれないけど、昨日お前を迎えに行ったのは俺だし、酔っ払ってめっちゃキス魔になるし、てかこのキスマークもお前に付けられたし……」

き、ききききききききキス魔？！
人生で初めてそんなこと言われて恥ずかしくなる。俺は今何の話をされてるの。

「……なんか初めてお前に振り回されるの嫌だと思った。」
「？」

「まじでお前って子供だな。」
「？」

「俺が全力で守らなきゃいけないってわかったよ」
「あの、佐々木さんさっきから何の話をしてるの？」

はあ、とため息をつかれる。
俺なんか昨日酷いことしてしまったのかな。大光に嫌われちゃうのかな。でも覚えてないから謝ることしか出来なくて。

うーわかんない。わかんないよ、なんかもう涙でそう……

零れ落ちた涙を大光に拭われる。

「俺は焦ってんの！」
「？」
「その、お酒とかまだ飲めないから着いていくことも出来ないし酔ったらこんなふうになるお前を一人にさせたくないのに……。」

大光の大きな目が潤み出す。頭を撫でられ、胸板に押し付けられる。力が増す。涙が髪の毛に落ちてくる。大光の優しい声が耳元で聞こえる。強く強く抱きしめれる。

「いつか俺のことも子供だって思って、捨てられるのかなって思ったら怖い」

そんなこと、思わないのに。
俺だってこんなナヨナヨな自分、大光に嫌われちゃうんじゃないかって怖くなる。

大光のことはもう嫌いだと思わないのに。

俺はまたこうやって不安な気持ちにさせちゃうんだ。

夜に近い朝のこと。

　