プリムラ 3 (ページ30)

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無題 y.r ページ30

矢花黎

「克樹は矢花のことどう思ってるの？」
「え、どう思ってるって？」
「その……好きとか嫌いとかさ」

まあ尾行するよね(しません)。あの後、たまたま俺の帰り道にあるご飯屋さんに入っていったので俺も当たり前のように入ってしまった。

最初からずっと俺の話をしているおふたり。
だかさんが(多分)お酒を飲みながら俺にされたことを話しているんだけど、何この気まずすぎる空間(お前が自ら着いてきたんだろって言う意見は受け付けておりません)。

だかさんの顔が見たいよ〜〜
どんな顔で俺の話を他人にしているの？

それにやっぱりだかさんって有り得ないくらい鈍感なんですね。今野さんに軽くお叱りを受けて「んー」とか「うー」とか言葉とはとても言えない声を出しているだかさん。

はあ、だかさんが俺の事で悩んでくれてるのが嬉しくて堪らない歪んだ自分が気持ち悪くて仕方が無い。いっその事思い切り嫌いって言って貰えたら……

で、冒頭に戻る。

「好きだよ。ばなさんは頼りになるし、一緒にいて楽しいし、なんか落ち込むことがあったら矢花のところに行きたいなって思う。」

そう言えば前にそんな感じのことを言われたことがある気がする。

ハハ、俺ってだかさんにとってただの便利屋でしかないのかな。便利屋だとしてもだかさんの人生にメンバーや友達以外の名前のもので関われるだけで十分幸せなのだけれど、ちょっぴり寂しい気もして。

謎の無言が続いていたので勝手にひとり頭の中でだらだらと喋っていたわけだけど、だかさんの声がまた聞こえてきたので耳を傾ける。

「あ、でもね！大光の好きとは違うんだよ。確かに、あの時は突然だったからドキドキしちゃったけど普段は大光にしかしないの。」

あーーー

「……と、言いますと？」
「俺がちゃんと好きなのは大光だけ。」

俺がちゃんと好きなのは大光だけ。

俺がちゃんと好きなのは、大光だけ。

俺が、ちゃんと好きなのは、大光だけ。

しんどいな。気分悪くなってきた。家に黙って帰ります。

大光に夢中なだかさんも大好きなはずなのになぁ。

「嫌い」

　