プリムラ 3 (ページ21)

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お願い s.t ページ21

佐々木大光

「お前さ、それ誰にでもやんの？」
「それって……？」

あー多分誰にでもやってんだろうな。その人の袖ぎゅっと掴むやつ。今もそうやって上目遣い。ほんとどこで覚えてきてんだろ……。

「大光が離れないようにしてるの」

そんな子供みたいな顔して、そんな可愛いこと言わないで欲しい。
俺は離れたくても離れられないんだけどな。

「でも、そろそろやらなきゃいけないことあるし。離れなくちゃだね。」

やけに大人びて見える顔。でも、耳は真っ赤でバレバレなんだよな。照れるくせに頑張ってやろうとするところ、可愛い。

「たいこう」
「なに」
「お願いごとしてもいい？」

此奴俺がその顔に弱いこと知ってんのかな。その首こてんてしながら俺の事見てくるそれ。それも絶対色んな奴にやってんだろ。
てか、お願いなんていちいちお願いされなくても全部全力で叶えるんだけど。

「じゃあ俺のお願い聞いて。」
「え、たいこうの？」
「うん。お願いし合いっこしよ。」

「たいこうのお願いかー、たいこう変態だからコスプレしてとか変なこと言ってきそう」っておい。お前ちっせぇ声聞こえてんぞ。本当にコスプレさせんぞ、俺の中高の制服着させんぞ。

ってそんなことは俺が成人するまでやらないけど。

「聞く！たいこうのお願い聞く！」

え、なんで今ほっぺ両手でパンパンしたの？気合い入れてるの？そんなに頑張って俺のお願い叶えようとしてくれてるの？

「あの、ですね。もうちょっと俺に甘えてください。俺にも迷惑かけてください。」
「え、お願いってそれ？」
「そうですけど……。」
「ふーん。」

なんかめっちゃ冷たくない？？？なんだよ、俺頑張ってオブラートに言ったのに……ってまたその袖ぎゅっ

「おれ、たいこうに結構甘えてるつもりだった」
「いや、足りない。もっとさ、疲れた時にぎゅーしてほしい♡お疲れ様のちゅー♡とかないの？」
「大光ってなんか変な恋愛に憧れてるよね。」

そんな真顔で酷いこと言わないでくれよ。佐々木くん結構メンタルやられているんだけども。

「わかった。もっと大光に甘える。じゃあ俺のお願い聞いてもらってもいい？」
「うん」

別れたいとか以外ならなんでも聞く。本当はぎゅーしたいとか一日一回ちゅーしてとかそういうのがいいけど、克樹なら焼肉行きたいとかこのカフェ行きたいとかっぽい。

「あのね……」

　