プリムラ 3 (ページ16)

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次回！矢花黎今世紀最大のピンチ！ y.r ページ16

矢花黎

目の前に大光がいる。
別に違うのに、浮気がバレるみたいな緊張感がある。

ストックしていた飲み物が切れたので、だかさんのご飯も一緒にとひとりでコンビニまで来ていた。

朝10時になんでこんなとこにいるんだと疑問に思うが、大光は普段歩かないくせに悩んだりしてる時は結構長い距離を歩くと言うおじいさんみたいなことをするのだ。

とりあえず大光に見つからないように下を向いて歩いているが、こんな時に限って俺が作った世界に一枚しかないシャツを着ているので恐らくバレる。

あー、ほら。今「やばな？」みたいな顔した。

「ばなさんなんでこんなとこにいんの」
「いや、あなたこそ」
「別にちょっと散歩してるだけだよ。てか克樹知らない？」

あーーーーーーー克樹ねーーーー。克樹、本髙克樹さん？今自宅にいますね。自宅というか自室。俺のベッドですやすやと寝ていますね。

「シラナイヨ」
「絶対知ってるやん」

なんで俺って嘘つくの下手なんだろう。だかさんよりは上手い自信あるけどさ。

「え〜？知らないっすよ。じゃあ俺は帰るんで。」

スタスタと家まで歩く。ごめん大光。ちゃんと後日詳細伝えるから。

と思ってたけど、あの、後ろからすごい視線を感じるのですが……。絶対彼が着いてきてますよね？

「大光」
「ん？」

後ろを振り向かず名前を呼ぶとなんですか？みたいな感じで返事が返ってくる。
どうしてそんな当たり前みたいになってんのお主。

「なんで……着いてきてるのでしょうか……？」
「怪しいから」
「オッ」

ありえない速度で返されたぞ。
俺って今日死んじゃうのかな。
でも俺悪くないんだよ、だかさんがなんでか俺ん家に……。

まずいとは思ってるけど、コンビニの袋持って違う所に行くはずがないじゃん、もう真っ直ぐ家に行くしかないじゃん？！

あーーーそんなこと思ってたら家に着いてしまった。

しかも佐々木大光さんはめちゃくちゃ真顔で「開けろ」って言ってきてコワイ。

だかさん脱出とかしててくれないかな。

ビクビクしながら鍵を開ける。
当たり前のように玄関にはだかさんの靴がある。

「なんで克樹居るの」

やっぱり俺って今日死ぬのかな。
これでだかさんが寝ぼけてて昨日のこと忘れていたら、俺完全に犯罪者みたいな立ち位置になるよ？！

「それには深い理由が」
「取りあえず部屋見せて」
「……ハイ」

　