プリムラ 3 (ページ15)

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矢花 s.t ページ15

佐々木大光

夢を見た。克樹が矢花と付き合ってる夢。
矢花が彼氏で克樹が彼女って感じがした。
お似合いだった。
矢花の隣にいる克樹が違和感無さすぎた。

俺はいま、彼奴と釣りあえてるのだろうか。

俺が告白するよりも前に矢花が告白していたら、克樹はきっと矢花と付き合っていた。

二人でご飯屋に行くところも、一緒に楽器練習してるところも何度も見たことあるし琳寧とは違う「ふたりの世界」みたいなのがあった。

それに、もし今矢花が克樹に告白したら矢花の方に行ってしまうんじゃないかと不安になる。

克樹と付き合ってる自分に自信が無い。

無いけど、もし矢花の方に行ってしまっても取り戻す覚悟はある。何回だって克樹を振り向かすことが出来る自信はある。

突然寝る前のことを思い出し、メッセージアプリを開く。
既読がついていない。

俺らのトーク画面は、仕事内容の確認くらいしかないほぼまっさらな状態だ。
克樹はそもそもあまり見ないし、スタンプとかも使わないから俺もそれにあわせている。

メッセージを全然見ないのはよくある事だから別にいいのだけど、こういうのって普通はすぐ返すはずだから何かあったのではと心配になる。

「無理すんなよ」のメッセージも見てないくらい無理をしていることも彼奴なら考えられる。

それとも……やめよう。

電話かけたい。声が聞きたい。
昨日あんなに独り占めできたのに、まだ足りない。あの舌っ足らずな声を聞きたい。今すぐ抱きしめたい。頭ぽんぽんしてあげたい。好きって沢山言いたい。

別にいいもん。矢花と仲良くても、俺がその矢花に染った部分を上書きすればいいだけの事。

だって克樹は俺にハグするだけで頑張れちゃうんだよ。

でも、それでも

克樹の可愛いところを沢山見せてもらえる矢花が羨ましい。

ずっと胸がざわざわする。

はやく克樹と会って治めたい。

なんかもう意味わかんないくらいに大好き。

散歩してこよ。

　