プリムラ 3 (ページ14)

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恋愛とは y.r ページ14

矢花黎

だかさんのスマートフォン。
大光から「無理すんなよ」って送られていた。

この二人って最初こそはぎくしゃくしていたけど、いい意味で正反対で結構いい関係なんだなと思う。ぶつかり合いながらもお互いを高めあえるみたいな。

って、なんで俺はライバル(既に敗北してるけど)と好きな人をいい方向に持っていこうとしているんだ。
だって今は正直めちゃくちゃいいチャンス。好きな人と自分の部屋で二人きり。バレなきゃ好きなことをいくらでもできる。

だかさんを傷つけたくないからなにしないけど。好きだから。

本当はこのまま閉じ込めていたい。好きだから。

好きだから。

(本音を言うと、だかさんに自由に触れることが出来るのなら触れたいし関われるなら彼の人生にずっと関わっていたい)

行動できない自分が悪いけど、大光が羨ましい。

夢を持つことも嫉妬することも羨むことも無料でできる。しかもお手軽。
だからなのかな、俺はかなりそれをしてしまう。

「もし付き合えたら」とか「手に入れることが出来れば」とかくだらないタラレバばかり繰り返してダサいな、……。

夢は持つことが出来るのに、何で夢の中に入り込めないのか。

非現実的なことを思考してしまうのはこの「恋愛」と言うやつがもたらすいけないこと。

でも、だかさんとの楽しいひとときを切り取ってそこだけにいられたらそれでもう幸せになれる。余計なこと考えないで済む。

夢の中にいたい。

ああだかさん。大好きですよ、本当に。心の底から。あなたが誰かのものになってしまっても追いかけてしまいたくなるくらい好きです。

なんで俺はこういう心で思うことを口で伝えられないのか。

俺の好きなロックスターはきっと汚いラブレターでも自信満々に渡すのに。なぜ俺にはそれが出来ないのか。

だかさんは鈍感だから、遠回しに言っても全然気づいてくれない。わかってる。

ストレートに伝えなきゃ、だし。

ああああああああぁぁぁもう結局こんな素敵なハッピータイムも俺は無駄にしてしまうんじゃん。

あの、だかさん。
ほんの少しだけ触れさせてもらってもいいでしょうか。

この口で大光に好きとか言ってるのかな。

この目で大光のかっこいいところを映してるのかな。俺のかっこいいところも映して欲しいです。

この顔で大光に甘えているのかな。

この手で大光に触れているのかな。

はあ。恋愛って、しんどい。

　