プリムラ 3 (ページ28)

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その後 y.r ページ28

矢花黎

だかさんにさよならを告げ、急いでトイレに駆け込む。

俺は一体何をしているのか。だかさんのあの怯えた顔はとても唆るものだったけれど、でもやっぱりだかさんの笑った顔の方が好き。

だかさんの熱のこもった目線が、とてもよかった。
だかさんに「れい」と呼んでもらった。かわいかった。
だかさんの顔はやっぱり綺麗だった。

自分の欲だけでだかさんをあんな怯えさせてしまったことにとても反省している。
でも正直だかさんには隙がありすぎる。あんな子いつ誰に取られちゃうか分からない。そんな不安がある。そもそもだかさんは大光と付き合っているけど、それ抜きでもだかさんは……

ああ。だかさん。

だかさんは、大光に自分からキスでもするんですかね。あの可愛い顔で、あんなに色々調べてくれて、そんな人からのキスだったら大光じゃなくてもみんな喜ぶと思いますよ。絶対本人には言ってあげないけど。本音を言うと、失敗すればいいのにと思いますもん。

だけど、成功して幸せそうな顔をするだかさんも見たいと思うんです。俺って本当に欲張り。

考えたらキリがない。蛇口を捻り、勢いよく出てくる水を両手で掬い顔面に打ち付けるように顔を洗う。切り替え、切り替え。

事務所から出ると、だかさんとこんぴが二人で歩く姿が見えた。

だかさん、こんぴの前ですごく穏やかな顔してる。
こんぴもだかさんに興味無さげにしてるけど、裏ではだかさんのことすごい褒めてるし優しい顔をする。

だかさん、俺に次会ったらどんな表情をするのかな。
もう今までみたいに接してくれなくなるんですかね。
こんぴと美味しいものでも食べて俺との出来事なんて忘れてしまうんですかね。

でも、きっとだかさんのことだからいつも通り接してくれるんですよね。「気にしてないよ」みたいな顔して、いつも通りの"フリ"をしてくれるんですよね。そういうところ本当に好きです。

だかさん、好きです。
大好きです。

あなたを前にしたらどうしたらいいか分からなくなる。

　