【SERVAMP】君は何を探しているの【虚飾】

第２８話　悪いことは　side真昼 ページ31

「岡山さん…なんで逃げるの？」


「城田、君が、はっ、追いかけて、来るから、ですよ…はぁ…」


教室から玄関まで走って疲れたのか、息も絶え絶えに言った。

ちなみに中学のとき陸上部に入っていた俺は元気だった。


「城田君…悪いことは、言いま、せんから、はぁっ、昨日の、ことは、」


「…落ち着くまで喋らなくていいよ」


岡山さんはすみませんと言ってその場に座り靴箱にもたれかかった。

そんなに疲れたのかよ。そして背中汚くならないのかな。



呼吸が整った後、岡山さんはこう告げた。


「昨日のことは、忘れてください。具体的には昨夜７時から私達に関すること全てを」


夏の１９時は夜と言って良いものか微妙だが、


「どうして？」


「私にも分かりません」


なぜ自分で理解できないことを他人に強要するのか。



「マコトが…自分の兄弟に会いたくないと言っていました」



マコト、というのは“憤怒”の真祖にナンパしたあの白髪だろうか。


「そいつです」


「自分の姉にナンパしてたけどな。……っていうかもしかしてあいつクロ達の弟なのか！？」


「そうです」


待てよ。


クロ達は７人兄弟で、でも本当は椿を入れて８人兄弟なんだよな。


でもその…マコト？を入れたら本当は９人兄弟…？


だんだんわけが分からなくなってきた。結局何人兄弟なんだ？








「このバカっ！」


「そりゃ混乱するだろ誰がバカだ！…って、今の誰？」


不意に聞こえた罵倒の声につい反応してしまった。







すると、岡山さんが独りでに動く鞄を指差した。


「…手品？」


「違います。…９人目です」

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