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第八十七話 零side ページ7

「あれ、今日は早いね。おかえり」

「……ただいま」



仕事を終え帰宅すると、教科書とノートを広げているAが目に入った。



「家庭教師先の予習?」

「まあな、一応次はテストをする予定で」



問題作りに苦戦しているようで、眉間に皺を寄せていた。
そんなAを見て、言葉にはできない感覚が背中に伝う。
不安のような、悲しさのような



「…?零」



こちらに体を向けた時、Aの肩に頭を落とす。
そして、背中に腕を回した。



「どうしたの?」



優しく、包み込むように頭を撫でられ目に力が入る。

……まだ、言わないでおこう。
あの戸籍は確かなものなのかを調べて、確定した時に伝えよう。
そして、両親の事も

Aは、この世界の人間なのか。いや、そんなはずはないんだ。
でも

どうか、そうであってほしい。なんて

思ってしまう。



「なんでもないよ」



不安げな顔をするAに、愛しさを感じながらキスをした。



「好きだなって、思っただけ」

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作者名:yu-kun | 作成日時:2023年4月5日 4時

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