第九十三話 ページ13
嗚呼、見たくないな。両親の死ぬところなんて。
「おとうさん、おかあさん」
拳銃からけたたましい音が鳴った瞬間、見ていられなくて目を瞑った。
ヒタヒタと、足音と共に成長した私の声が聞こえた。
私は、この状況を見ていたのか。
「なんでしんでるの?」
『殺したからだ』
「…ふーん」
ジンの足元で、両親の亡骸を見つめた。
「かなしいね」
亡くなった両親の手を触る。冷たくて、すぐに手を離した。
ジンは私に銃口を向ける。
「わたしもころすの?」
『ああ』
「ふーん」
怖くはなかった。赤子の頃から彼らと関わっていたから。
今更、どうでもいいから。
ジンは引き金を引くことはなかった。一瞥するとその場を去ったのだ。
そこからの記憶は無い。
……ああ、そういう事か。
何故この世界の記憶が入ってきたのか。
別の私がこの世界にいたんだ、その私が死んで入れ替わるようにこの世界にきた。
引き金はこの世界の私の死と、零の存在。
私の死は確定されていたから、零をまず送ることによってそれを可能にし、きっかけを作った。
神様は、残酷だな。
さあ、もう目を覚まそう。この世界の私として
零に会わないと。
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作者名:yu-kun | 作成日時:2023年4月5日 4時