第八十二話 ページ2
軽い質問を幾つかし、彼女はただ話すのが苦手な内気な女の子だということがわかった。
仲がいい子がいるらしく、その子の話をする時は笑顔が見えた。文系が苦手なのと、人と上手く話す練習として家庭教師を雇ったそう。
「さて、色々知れたし勉強に移ろうか」
「…はい」
みゆさんと談笑を軽くしながら、私が決めた範囲まで学習書を進めた。
今日は1.5時間での契約だったため、なんとか範囲内で終わらせるようにしよう。
ペンが止まれば、その都度教えていたが私といることが慣れてきたようで自分からわからないと教えてくれるようになった。
「もう時間だね。内容だけ確認するからやすんでて」
そう伝えると、ホッとしたように息を吐く。
確認が終わり片付け済ませる。
「あの」
「ん?どうしたの?」
「今日はありがとうございました、古谷先生でよかったです」
「…こちらこそ」
初めの頃とは打って変わって、可愛い笑顔を見せお礼を伝えてくれた。
やっぱり、勉強を教えるのは楽しいな。
「それではまた」
藤井家を後にし、呼んでおいたタクシーに乗り込む。
久しぶりに勉強を見たからか、さすがに疲れたな。
今日は零、遅くなると言っていたし適当なスーパーでおろしてもらおう
「どちらまで?」
「近くのスーパーまでお願いします」
「米花スーパーでいいですか?」
零の家からそんなに遠くないな。
「お願いします」
今日はセロリの酢漬けを付け合せに唐揚げでも買おうかな。揚げるには時間がかかるし。
スーパーでおろしてもらうと、どうやら鶏もも肉と油が特売のようだった。
……これは、揚げろと???
気づいたらカゴに入っていた鶏もも肉を見つめ、片栗粉はあったかな、なんて考え油を手に取る。
油は丁度切れそうだったし丁度いい。このスーパーは行きつけになりそうだ。
ホクホクとした表情でお店を出る。
零、喜んでくれるかなあ。
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作者名:yu-kun | 作成日時:2023年4月5日 4時