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第八十一話 ページ1

零も仕事に向かった事だし、私も準備をしよう。
家庭教師の仕事のために。

確か、帝丹高校とやらの1年生の女の子、藤井みゆという子らしい。

ショートメールに送られてきた住所に向かうとしよう
この世界では車がないため、仕方ないがタクシーを使った。
零がお小遣いを用意してくれていたため、給料が入ったら全額返そう。



「ここですか?」


タクシーの運ちゃんに言われ、ハッとアパートを見る。


「ここです、ありがとうございます」

「2360円です」

「丁度で」



タクシーから降り、部屋の番号が書かれた掲示板へと目をやる。
どうやら101から始まって、4階まであるらしい。
その子の部屋番は302、3階だ。
ここはエレベーターがないためいい運動になるな。
なんて思いながら階段を上ると2階辺りでもう足が疲れた。しんどい。

やっと部屋の前までたどり着き、呼吸を整え呼び鈴を鳴らす。
藤井みゆさんのお母様が対応してくれ、その子の部屋の前まで連れていってくれた。



「みゆ、家庭教師の先生が来てくれたよ」

「……」



少しの沈黙の後、ゆっくりとドアが開く



「……」

「はじめまして、古谷Aです。よろしくお願いします」

「……ふじい、みゆです」

「古谷先生、ごめんなさいね。この子あまり話すのが得意じゃなくて」



彼女は俯き、母親は困ったような顔をする。



「お母様、少しみゆさんとお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「え?ええ、いいですよ」

「みゆさん、部屋の中に入ってもいいかな」



そう問いかけると、彼女は小さく頷いた。
お母様、もとい藤井雪子さんはお茶を持ってきますとキッチンへ向かった。
私とみゆさんは用意されていた座布団に腰かける。



「もう一度自己紹介しますね、私は古谷Aです。さっきは名前を教えてくれてありがとう」

「いえ…」

「今日ははじめましてって事で、簡単な質問をさせてもらってから勉強をはじめようか」



届いたお茶を飲みながら、彼女は小さく頷いた。

第八十二話→



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作者名:yu-kun | 作成日時:2023年4月5日 4時

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