主力組のパス回し ページ23
義経、高杉、桐木、小早川…と進んでいく。
明らかにサブ組とはスピードやパスの発想が違う。
こりゃ凄いなぁ、でも俺も追いつけないわけじゃない。
「桐木」
俺へパスされ、阿久津がこちらに向かったが、足元にすくい上げながら指定された小早川さんにパスをする。
パスコースを読み足を出した阿久津だったが、俺がすくい上げながらパスをしたことでカットすることが出来なかった。
これには、少し驚いた様子で受け取る小早川。
その後桐木にパスが渡り、高杉へパスしようとした所を阿久津がカットし一旦流れが止まる。
それを30分続けたところで休憩に入った。
すると急にキャプテンが走って抱きついてきた。
「く、くるじぃ……。」
「みんなのキャプテン、義経健太ナリ!なんだろり、あのパスに最初から着いてこれたの、トゲトゲ君以来ダロ!!」
「おいおい、1年困らせてるぞ。」
「義経、このままだと圧死しちゃうよ。」
「お前スカウト生なんだって?こんなに上手いなら俺も知ってると思うんだけどなぁ。」
おい、あつい。あついよ。
なんでこんなに抱きしめられてるんだ。
「そいつ、あの幻の選手ですよ。」
「だからぁぁあそれ言わないで!!!!」
バラしたのは高杉さん。
「あぁ、トゲトゲ君が言ってた奴ナリか、まさかモジョモジョ…」
「義経、語尾語尾。」
「確か、桐木、高杉惨敗したんだろ?」
いや、そんな惨敗って訳じゃ…一点取られてるし
「……栗林かと思った。あの時…でも今はまた違う個性……」
「義経さん達も見たでしょ?あれジュニアからやってるんですよ?怪物ですよ。」
少し談笑していると、おい、と後ろから声がかかる。
振り返ると、強面な顔をした阿久津渚が。
周りの面々は少し離れたところで様子を見る。
「てめェ、栗林が言ってた奴か。」
「栗林くんがどんな言い方をしたのかは分からないですけど、多分俺です。」
そう言って少し無言が続く。
「……あのパス、どういう理屈でやりやがった?」
「あれは、向かってくる阿久津さんに対して、体の向き、重心の傾き、足の向き……とか色々使ってフェイクコースを作ったんです。あの時、距離的にも素早いパスじゃないと追いつかれるから少し絞られるじゃないですか?そこの思考を利用したんです。俺、体幹と身体の柔軟はあるんで、体崩しても全然パス回し出来ちゃうんですよね。」
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作者名:jack | 作成日時:2023年3月4日 23時