【東リべ】六本木のシスコン姉妹【灰谷兄弟】 (ページ1)

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A視点

ゴッ、ゴッ、と鈍い音が路地裏に響く。
さっきまで余裕ぶっていた男の上に乗り、顔面を殴り続ける。

この男はお姉ちゃんに手を出そうとした。
やめろ言うたのにやめへんかったから殴った。
正当防衛やんな。

『何お姉ちゃんに手ェ出そうとしてくれてんねん、オイ。どういうことかわかっとんのやろ？なァ、』

姉「A、もうやめとき？手ェ痛いしもっと汚れてまうやんか」

男を殴って赤くなった自分の拳を優しくすり、と撫でる。
この人が自分のお姉ちゃんで、何よりも大切な存在。自分の生きる理由だ。

お姉ちゃんは毎回、頭に血の登りやすい自分をこうやって優しく止めてくれる。

『お姉ちゃんが言うならやめる』

姉「ん、A大好き」

『自分も』

お姉ちゃんにぎゅっと抱きしめられる。
けど腕は回さない、血のついた手で触ってしまうとお姉ちゃんが汚れる。
自分はこうされるのが好きだ。
一緒に頭を撫でられるのが最高で、ずっとこうしていたいと思う。

「んじゃ帰ろか。一緒にアイス食って寝よ」

『あーあ、こんなことになるんやったらコンビニでおしぼり貰ってこりゃよかった』

姉「やなぁ。この状態でコンビニ入ったらもれなく全員ドン引きやもんな」

普段なら手を繋いで帰るところだけど、それも自分の手が汚れているから我慢する。

会話が少し途切れた時、後ろから足音というか靴が地面に摺れる音がした。

誰かにつけられている。

『お姉ちゃん……、誰かおる』

姉「！ならはよ帰ろか」

二人で家まで走る。
逃げ切ろうとは思ってない。
コソコソと動き回っている輩が姿を現した時、その時が仕留めるチャンスだ。

走っていると前に影が落ちて暗くなった。
今、後ろにいる。

「逃げらんねぇよ♡」