. ページ45
_
小籠包のあとは、私の食べたかった角煮まんと、蓮の食べたかった大きい台湾唐揚げを
半分こしたり食べ合いっこした。
蓮は渡辺さんと違って、"うわ！うまっ！"とは言わないけど、
"美味しいね"って見つめて微笑みかけてくれる。
初めは間接キスだって緊張したけど
美味しいものを食べ合って共有できるのも楽しいって気づけたし
小食の私に取っては、いろんな食べ物を食べられて嬉しかった。
私はもうお腹いっぱいだったけど、
"いっぱい食べたね〜"
っていう何気ない私の一言で
まだ満腹じゃないだろうに、"じゃあ次のとこ行こっか"って中華街を切り上げる蓮
こんなにも紳士的な人、蓮以外いないだろうな。
相変わらず手を繋ぎながら駐車場に向かう。
恋人でもない蓮と手を繋ぐなんてことにも慣れてきた。
彼氏ができる、ってこういうことなんだな。
ぎゅって握ると、
さらにぎゅって握り返してくれて
もしかして蓮って彼氏なのかな、って一瞬錯覚に陥っちゃうくらいだよ。
車に乗り込むと
普段どんな曲を聴くのか聞かれて
好きなバンドを答えると
その音楽に切り替えてくれた。
『へぇ〜、A、こんなの聴くんだ』
「ふふ、意外かな？」
『いや、そんなに』
「なんだそれ」
『でもこのバンド名的に、もっとハードな曲調かと思ったら、意外と切ない曲だね』
「そこがいいんだよね」
私の好きなアーティストは、名前こそザ・ロックって感じなのに、ボーカルの歌い方が細くて切なくて
夏のうるさい騒音に、彼らの歌で耳を塞ぐと気分がいい。
『なんか、今のAみたい』
今流れてる曲は、"いつになれば"って曲。
そう言われれば、この曲私に似てる。
ずっと想ってる人は恋人がいて
自分は何もできず応援してるだけ
自分の番が回ってくるのを気長に待つ歌詞の主人公は、ついに自分も違う人と付き合う始めるけど
本当に好きなのはずっと、変わらない人
そんな曲。
「言われてみればそうだね！」
『言われてみれば、じゃなくてほとんどAじゃん』
「ふふ、なんか恥ずかしいよ」
『んー、でもやっぱ自分と同じ苦しさとか、切なさを求めちゃうんだろうね』
そう言って蓮は運転席から手を伸ばして
私の頭を撫でた。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 924人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「渡辺翔太」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやの(プロフ) - 廉桜さん» ありがとうございます（ ; ; ）嬉しい限りでございます！ (2021年8月16日 1時) (
レス) id: 843f918905 (このIDを非表示/違反報告)
廉桜(プロフ) - あやのさん» よかったです^_^とても面白いお話なので楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2021年8月16日 0時) (レス) id: 1a19d45977 (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 廉桜さん» ぎゃああ本当ですね（ ; ; ）何度もありがとうございます。助かりました！ (2021年8月15日 15時) (レス) id: 843f918905 (このIDを非表示/違反報告)
廉桜(プロフ) - あやのさん» 全然です！本当に指摘続きで申し訳無いのですが、追加されたお話の順序って多分逆じゃ無いですか？？違ったら本当に申し訳ないです（汗） (2021年8月15日 14時) (レス) id: 1a19d45977 (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 廉桜さん» ご指摘ありがとうございます！修正いたしました。ご指摘いただいた話の間にもう1話あったので、話の繋がり的にそちらも除いていただけると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2021年8月15日 10時) (レス) id: 843f918905 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやの | 作成日時：2021年8月15日 2時
