ワタシの事情 《 3B 》

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『よっ』

「よっ、じゃないよ
　家来たいなら一回連絡入れてよ」

『どうせ連絡しても断わんじゃん』

「まあ、そうかもだけど！」






"意外と綺麗にしてんのな〜"

なんて言って上がってくる彼は少し失礼。

私のイメージどんななのよ。






でも礼儀がないわけじゃないみたい。





「なんでそんなとこ立ってんの」






渡辺さんはずっとリビングの角に立ってる。






『いや、人様んちで勝手に座り込めないでしょ』

「変なとこだけ礼儀あるんだね」

『普通に"礼儀ある"でいいじゃん』

「夜の9:00に人んちアポ無しで乗り込んでくるのって無礼だけどね、

　はい、ここ座っていいよ〜」






そういうと渡辺さんはちょこちょこと歩いてソファに腰掛けた。








今家にある飲み物なんてお茶とココアくらいしかない。



ほんと事前に言ってくれたら何か用意できたかもしれないのに、






「お茶かココアどっちがいいー？」

『ぐは、お前、家に常にココアあんの？』

「何か悪いですか〜」

『好きすぎだろ』

「はいはい、じゃあもういらないんですね」

『あーーー、いるいる！お茶で！』






やっぱり何か突っかかってくる渡辺さん




プチ復讐として、お茶じゃなくてココアを注いだ。しかも砂糖多めで。






『は？え、ココア？』

「渡辺さんがココアのこと馬鹿にするから、魅力を伝えてあげようと思って」

『馬鹿になんかしてねーよ、』

「全世界のココア好きに怒られろ！」

『お前も全世界の渡辺担に怒られんぞ？』




いや、どうして私が怒られるのよ




「全世界の渡辺担とか、自分で言う？」

『お前わかってないと思うけど、俺結構モテんのよ』

「それはわかってるけどさ、"渡辺担"って恥ずかしくないわけ？」

『いや、それは、その場のノリじゃん』

「まあ、つべこべ言わず飲んでみてよ、
　全世界の渡辺担と戦うのはそれからだわ」


『とりあえずいただきます、

　.........ぇ..うまっ』


「でしょ？」




頂きました、渡辺 翔太の「うま」サイレントver.




砂糖はいっぱいいるたけど、しっかりココアの粉にこだわってるんだから、そこらの自販機のココアとは訳が違う。






『参りました』

「ならよろしい」

『美味すぎない？』

「ただ甘いだけじゃないでしょ?」

『うん、いい感じに苦みもあって美味い』

「全世界の渡辺担にも、渡辺さんが降参したよ〜って伝えてあげたい」


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