ワタシの事情 《 3B 》

. ページ25

_




翔『やっぱ納得いかないわ、
　 なんで目黒はされて、俺はないのか』

「それは、渡辺さんにしないんじゃなくて、目黒さんにしろって言われたからしただけです」

翔『ふーん、
　 じゃあ今度しろよ』





今度するってどういうことよ



もはやどういう感情かよくわからないけど、
ここは場を収めるために適当に相槌を打った。







あのあとご飯を食べ終わって、目黒さん、渡辺さんと解散した。





渡辺さんは、まだ少し私たち2人でご飯を食べてたことに拗ねてたけど、否めない5歳児感が可愛いから許せちゃうよね。









いつも通り一人で講義室に向かうと



『A、』




あ、いつもの声だ！




「ふっか！」



『そんな驚くなよ、さっき会ったばっかじゃん笑』


「驚いてないよ、
　ふっかだ！ってなったの」


『なにそれ、喜んでんのかなんなのか』


「まあ、若干、...」


『お、俺に会えて嬉しいってな？』


「嘘です。全然嬉しくないです」


『なんだよ〜
　天邪鬼かって』







もちろん嘘。

会いたかったよ、ふっか。







でも "会いたい"って、私が言っていい台詞じゃない気がして

喉まで差し掛かってきた言葉を飲み込んだ。








『なんかA、変わった?』





え、気付いてくれた。



今日はいつもと違って、髪もおろしてコンタクトもつけて、服だって目黒さんセレクト。






「うん、ちょっとイメチェンしてみようかなって」

『え、いいじゃん、似合ってる』

「ふふ、でしょ」

『可愛くなっちゃって〜』





え、

"可愛くなっちゃって"？






そんな嬉しいこと言ってくれるの？







"可愛い"なんて、ふっかにはじめて言われた







「て、照れるって」

『まっじで、今の方がいいわ』

「え、ほんとに言ってる?」

『ほんとほんと、
　A、恋でもしてんの?』






え、


してるよ？





10年前からずっと、



目の前のあなたが好きなのに、






「え..いや、どうだろうね？」


『ははっ、いいじゃん
　女の子は恋したら可愛くなるって言うしな〜』





そんな、可愛い可愛い言わないでよ、

ほんとに照れてるのばれちゃうじゃん。






_

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す