. ページ43
_
『いらっしゃい、
あ、Aちゃん、こっちだよ』
「ありがと、マスター」
もう康二くん、バーに来てたみたい。
康二くんがいる席に案内された。
案内された席に行くと、康二くんはまだ飲んでなくて
『どれがいい？』
って今まで一緒にいたときみたいに聞いてくる。
私はしばらく会えてなくて、気まずいものかと思ってたけど、彼は自然だった。
「モヒートで」
『んー、俺はラスティネイルで』
『かしこまりました〜』
注文を終えると、私たちには珍しく沈黙が流れる。
私はこの空気感が嫌いだ。
別れる直前のカップルの空気感。
お互い覚悟してるし、なんだか相手に言われるのを待って息を呑んでる瞬間。
私たちにも今、そんなときが流れてる。
そんなとき、先に口を開いたのは康二くんだった。
『初めて会った時も、これ飲んだなぁ』
「...ラスティネイル?」
『そう』
そう言えば、失恋中の康二くんにラスティネイルなんて、粋だなぁってマスターに思ったことを思い出す。
「まだ、あれから2ヶ月くらいしか経ってないんだね」
『そうやなぁ、
あのとき、声掛けてくれてありがとうな』
「......うん」
『この1週間、返事もしやんくて、ごめんな』
「うん」
『心の準備しててさ、』
「うん」
やっぱ、そうなんだ。
康二くんは、私と別れたいって思い始めて、そのつもりで返事してこなかったんだ。
「どうして、なの？」
『んー?....いや、まあ、俺ダサいからさぁ』
「わかんないよ、...濁さないで」
『んー.......怖いんよ、』
「え？」
『俺、Aちゃんが去っていくのとか、俺以外の人を選ぶのとか』
「わたし、去ってかないよ」
『......俺、見てん』
「え、何を...？」
『Aちゃん、
他の男と付き合ってるんやろ？』
彼は目を隠すように手で覆って、そう言った。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 621人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやの | 作成日時：2021年7月7日 9時
