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「え..ちょ、翔太、何してんの」
『いやだから、お前それで俺の隣来るってことは誘ってんだよね?』
「いや、ごめ、そんなつもりじゃ」
『じゃあどういうつもり?
お前にとって俺はお兄ちゃんかもしれないけど、俺にとっては、女なんだよ』
「え......?」
『だから、
お前がそんな格好だったら、無理、
ほんとこっちの身にもなってくれる?』
「......」
私は翔太のあまりの気迫に言葉が出なかった。
それに、翔太は私を見下ろしてて、目が合ってて、不覚にもドキッとしてしまった自分がいて
『抵抗しないってことは、
そういうこと?』
そう言って翔太は唇を重ねる。
右手は私の胸に触れていた。
「え、...ん......ちょ、しょ..た!離して!」
私は思い切り、翔太を払い除けて、そのままソファから離れた。
「えっと、ごめん....服、着てくる」
そう言って、クローゼットに向かう。
落ち着こう、うん。
翔太は、私のこと女として見てくれてる、
でも確かにもう翔太は29歳、私は28歳にもなって、女の従兄弟じゃなくて、女性として見られてるなんておかしい話ではない。
それに、私がそもそもこんな格好でいたことが悪いんだ。
翔太だって男だし、羽目外したくなることだってあるよね、
うん、仕方ないこと。
私は翔太との今の関係性を壊したくなくて、こう自分にとって都合の良い解釈をした。
それに私には康二くんがいるの。
康二くんとのこと、翔太に伝えておけばよかった。
伝えておけば、今日うちに来ることも、2人きりになることもなかっただろうし、
キスだって、されなかったかもしれない。
私が翔太に伝えなかったのが悪いんだ、
だから、この最悪の雰囲気の中、私は伝えた。
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作者名:あやの | 作成日時:2021年7月7日 9時