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結局ベッドに行くことも、浴室から出ることもなく2人で果てたの。
そのあとは、お互いもう一度ちゃんと体を流し合って、湯船に浸かって
改めて、今日楽しかったことについて話してた。
ネコちゃんから避けられる康二くんとか、海では貝殻が綺麗だったこととか、生しらす丼が新食感なこととか
ピロートークではないけど、話して笑って見つめ合って、時々キスをして。
お互いのぼせたから、お風呂から上がったら部屋のガウンに着替えて、そのままベッドイン。
さすがにもう疲れたから、第二ラウンドはなかったけど。
ベッドに入って3分ほどで、私の話への返事がなくなって、隣を見ると可愛い寝顔があった。
「大好きだよ」
そう言っておでこに口付けをした。
すると康二は、
『んん.......ら、さん』
そう言った。
はっきりは聞き取れなかったけど、
"塚原さん"って言ってるのかと思ってしまう私は相当心配性なんだな、って片付けよう。
でも、そうだよね。
何年間も思い続けた相手を、たかが会って数週間の私が、忘れさせられるわけがない。
自分のものになった康二くん、
だけど、自分のものになってしまえば
完全に自分のものになってないことに気付いたとき、こんなにつらいものなのね。
頬につーっと流れるものがある。
ああ、辛い、痛い、久しぶりこの感覚。
人ってほんのちょっとのネガティブなことばっかり考えてしまうもの。
今の私は、幸せだったこの1日よりも、たった一言の寝言で心が囚われて、結局あまり眠れなかった。
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作者名：あやの | 作成日時：2021年7月7日 9時
