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このバーに来るのは私の日課。
だから今日もきたら、今日も康二さんがいた。
寂しい背中だなぁって、今日も俯瞰してる私。
声掛けに行こうかな......
昨日のモヤモヤとした気持ちを消化したくて、
というか康二さんが目の前にいる、こんなチャンス逃していいものか迷っていた。
でも自分から話しかけにいくのは難しい。
私、コミュニケーション能力そこまで高くないんだよね。
それに昨日つれてった女性、まあまあ綺麗な雰囲気だった。
まあ流石に直視できなくて、背中とか横顔しか見れてないからはっきりはわかんないけどさ、
そんな煌びやかな女性と釣り合うほど、自分は綺麗でもない。
謙遜でもなんでもない、事実。
いまいち話しかける勇気も自分への自信も、生憎持ち合わせてなくて、渋ってたらマスターに声をかけられた。
『Aちゃん、』
「お、マスター」
『ちょっと、アイツどうにかしてくれない?』
"アイツ"
そう指差される相手は康二さん。
「あー、康二さん?」
『え、康二くんのこと知ってんの?』
「いやー、知り合いとかじゃないけどさ、昨日からずっと項垂れてるじゃん。
聞き耳立ててたよ」
『はは、Aちゃんの悪い癖だね〜、人間観察。
しかもAちゃんの人間観察ってちょっとタチが悪いんだよ、』
そう笑みを浮かべて言うマスター。
「タチ悪いって失礼だなぁ、
毎日頑張って自己肯定感高めてるの、」
マスターは私に話しかけながらも、常に手を動かしてる。
器用な人だ。
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作者名:あやの | 作成日時:2021年7月7日 9時