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抱きしめると、康二くんも返すようにきゅっと力を込めてくれた。





この人も繊細なのかな。





自分で自分を蔑むことで、謙遜することで、自分を守るタイプ。







『Aちゃん......俺、甘えちゃうって』




「...甘えたらいいじゃん」




『でも俺が甘えたら、Aちゃん傷付ける、かも...』







それって、やっぱ私の気持ちには応えられないってことなのかな。


心臓がきゅっと痛む。






でも、いいんだよ、これで。







別に私は都合の良い女だとしても、康二くんの隣で支えられれば、それも私の本望。







「いいよ、私、都合の良い女で」



『......』



「康二くんの癒しにでも、なんでもなる」



『...昨日もそんなこと言ってたな』



「だって、これが本心だもの」



『Aちゃんは、優しすぎるなぁ...

 俺みたいなクズはAちゃんに勿体ないよ』



「もう、クズでもなんでもいいから、」




この私の言葉を遮るように、"ごめん"と"ありがとう"をいう康二くん。





今、康二くんはどんな気持ちなのか、いまいちよくわからなかった。






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「ねぇ、焦げ臭くない、?」



『あ!忘れてた!』






慌てて抱擁を解いて、匂いのする方を見るとたこ焼きがしっかり焦げてた。







『うーわ!最悪っ!』



「はは、私も忘れてたよ、ごめん」



『Aちゃんに美味しいの振る舞おう思ってたのに......』



「まあまあ、焦げ取れば美味しいでしょ」



『見た目も味も最高ランクで出したかったのに......』



「ふふ、ありがと、その気持ちだけで十分だから」




『ほんまに、?』






ガチ凹みしてる康二くんはそう言って上目遣いで私を見詰める。





「うん、ありがとね、

 .......うわ!美味しいよ!焦げさえ取れば、サクサクだし私の切ったタコも美味しいし!」





そう言って、しょげてる康二くんの頭を今度は私が撫でてあげると、





『よっしゃ!よかった〜!

 じゃあいっぱい食べてなぁ』





なんて一瞬で機嫌取り直してました。








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作者名:あやの | 作成日時:2021年7月7日 9時

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