. ページ19
_
抱きしめると、康二くんも返すようにきゅっと力を込めてくれた。
この人も繊細なのかな。
自分で自分を蔑むことで、謙遜することで、自分を守るタイプ。
『Aちゃん......俺、甘えちゃうって』
「...甘えたらいいじゃん」
『でも俺が甘えたら、Aちゃん傷付ける、かも...』
それって、やっぱ私の気持ちには応えられないってことなのかな。
心臓がきゅっと痛む。
でも、いいんだよ、これで。
別に私は都合の良い女だとしても、康二くんの隣で支えられれば、それも私の本望。
「いいよ、私、都合の良い女で」
『......』
「康二くんの癒しにでも、なんでもなる」
『...昨日もそんなこと言ってたな』
「だって、これが本心だもの」
『Aちゃんは、優しすぎるなぁ...
俺みたいなクズはAちゃんに勿体ないよ』
「もう、クズでもなんでもいいから、」
この私の言葉を遮るように、"ごめん"と"ありがとう"をいう康二くん。
今、康二くんはどんな気持ちなのか、いまいちよくわからなかった。
.
「ねぇ、焦げ臭くない、?」
『あ!忘れてた!』
慌てて抱擁を解いて、匂いのする方を見るとたこ焼きがしっかり焦げてた。
『うーわ!最悪っ!』
「はは、私も忘れてたよ、ごめん」
『Aちゃんに美味しいの振る舞おう思ってたのに......』
「まあまあ、焦げ取れば美味しいでしょ」
『見た目も味も最高ランクで出したかったのに......』
「ふふ、ありがと、その気持ちだけで十分だから」
『ほんまに、?』
ガチ凹みしてる康二くんはそう言って上目遣いで私を見詰める。
「うん、ありがとね、
.......うわ!美味しいよ!焦げさえ取れば、サクサクだし私の切ったタコも美味しいし!」
そう言って、しょげてる康二くんの頭を今度は私が撫でてあげると、
『よっしゃ!よかった〜!
じゃあいっぱい食べてなぁ』
なんて一瞬で機嫌取り直してました。
_
621人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あやの | 作成日時:2021年7月7日 9時