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待って、そんな人いるの?
初耳なんですけど。
「え？そんな人いたんだ！
え、やばいやばい！誰?」
『ちょ、食い気味すぎ。
Aには教えないから』
「ケチ、私のことは根掘り葉掘り聞いてくるくせに」
『......はぁ、お前ほんとさ、』
「ほんとなに？」
『なんでもねぇよ』
バチが悪そうな翔太。
そういう肝心なとこを教えてくれないよね。
生まれた時から関わりがあるはずだし、誰よりも全てを話せる関係性なのに、私は翔太のこういうことをあまり知らない。
こうモヤモヤしてることに翔太は気付いてくれないんだから。
この後は他愛もない話を続けて、気付けば1時間半も居座ってた。
長居するのも良くないし、
『そろそろお勘定するか』なんて言った翔太は結局自分の財布を開いて、私の分まで払ってくれた。
「私が払うのに」
そう言っても、『お前に金出させられるかよ』って。
こういうツンツンしてるけど結局優しい、みたいなとこが、彼がモテる所以なんだろうなって思う。
「結局奢ってもらってごめんね」
『そこは、"ありがとう"だろ』
「あ、ありがとう、」
『ん、』
「そういうとこはイケメンだよね、ほんと」
『そういうとこも、ね』
「あー、うん、」
『じゃあ帰るか』
「え？」
さっき"夜までいるかも"って言ってたから、てっきりまだ何処かに行くと思ってた。
時刻はまだ14:05。
「夕方までいるんじゃないの？」
『お前、デートあるんだろ』
「いや、もうちょっといけるよ」
『そっち優先しろよ』
まあ、早いけどね、
翔太の優しさ。
「わかった、ありがと」
『おう、
てかA』
「ん？」
『お前もっと、自分大事にしろよ』
「え？」
『なんだろ、男のために自分犠牲にするとか、正直もう見てられないのよ、』
あぁ、康二くんのことね、
「ありがと、翔太！
でも今回もちゃんと好きだから」
康二くんに惹かれてることは自分でもわかってる。
だから、いいの。
『......そっ、か、
じゃあ応援してる』
「心配してくれてありがとね」
こんな歳になってまで、私に世話焼いてくれる翔太には感謝しかない。
だから、私もちゃんと心の奥で翔太の幸せ願ってるよ。
こんな感じで今日は早くに翔太とは解散した。
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作者名：あやの | 作成日時：2021年7月7日 9時
