ただの都合の良い女だから《橙》 (ページ13)

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静かな店内に入るなり

『でシたの？』

なんて聞いてくる翔太。

よっぽど気になるらしい。

「ちょ、こんなとこで言わないでよ」

『はぁ？したわけ』

「まぁ......うん」

『はーん、失恋したヤツとね、』

「もうその話はやめ、」

『また都合の良い女になってんじゃねぇの』

う、

核心ついてくるな、翔太。

そんな風に言われるとやっぱダメだなって思うけど、

私はあのとき、癒しになることを望んだし、それが自分なりの刺激だった。

「んー、でも自分もそれを望んでるのかも」

『そうだろうな。

　Aはいつもそんな恋愛ばっかってか、クズに惹かれたり、都合の良い女になったり』

「傷つくとか切ない恋だってわかりきってるんだけど、幸せなんだよね。」

はぁ...って深い溜息つく翔太。

「まぁ、とりあえず頼もうよ、

　すみません、私アジといくらと...」

『俺もいくらいる』

「あ、いくら２つで......」

話変えたくて注文する。

相変わらずいくら大好きな翔太くん(5)

おかげさまで期限も持ち直したみたい。

「翔太は28歳にもなって、浮ついた話もないの？」

『それはタブーだって』

そんな翔太くんは自分の恋愛話は語ってくれないのがお決まり。

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