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依頼の内容は密輸業者の撤退を手伝って欲しい、と云うものだった。

今は皆その場所に出かけようと準備をし、依頼人の樋口は御手洗いへと出かけて居た。


そんな中、私は先程国木田によって別室に連れ込まれた太宰の元へ足を向け、伸びている太宰を見下ろしながら扉を閉めた。



「あの娘、黒だな。」

「やっぱりAさんもそう思いますか。」


寝転がりながら盗聴器を弄ぶ太宰を横目に私は欠伸をすると、貼り付けて居た笑みを剥がす様に真顔に戻る。

そんな私を見た太宰は「何の目的でしょうねえ」何て云って掴めない表情を向けた。



「ふん、大方人虎だろう。
闇市では彼奴の首は七十億に膨れ上がってるからな。」

「成る程…七十億ですか、」


如何にも彼奴()が狙いそうな案件だ、と云えば「そうに違いない」と返ってくる。
何処か笑みを浮かべる太宰はこれからどうする心算なのか幾分か楽しそうに見える。

(此奴は彼奴に似たお陰で小賢しい。
今も何手先を見てるか私でも分からん…)


…末恐ろしい奴だ、と思っていると太宰はその表情のまま「Aさん」と云って私の名を呼んだ。



「"視えた"って能力の一つですか」

「嗚呼…確か"四年先の未来が視える"異能だったな」

「そうですか…」



遠くを見つめる様な瞳を見せる太宰の心中にはきっとあの男__織田作之助が居るのだろう。



「"後に残ったものの反省や後悔は、死んだ人の重荷になりそうに思いますの。"」

「…え?」



手に持っていた盗聴器を顔面に落とした太宰が目を見開いて此方を見る。

私はそんな太宰を鼻で笑いながら「独り言だ」と云えば扉の向こうから敦の声が聞こえてきた。



「Aちゃーん!そろそろ行くって〜!
何処にいるのー?」

「…時間か。」





「御手洗いかな?」と独り言を云う敦に答えるように私は扉を開けて彼の方へ足を向ける。

扉が閉まる瞬間、私は振り返って子供の笑みで彼を見据えて口を開いた。





「黒くてこわーいワンちゃんが噛んでこないと良いなぁ!」













「貴女様程の怖い狗を私は見た事が無いです。」

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ぽん酢(プロフ) - 凄い面白かったです!更新待ってます!! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 294c8f425c (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - 最高です!続きがめちゃ気になります!頑張って下さい!応援しています! (2018年8月13日 13時) (レス) id: b31c3f6b99 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - 最ッ高です! 更新頑張ってください!! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 430739def7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 題名って「この素晴らしい世界に祝福を!」これ参考にしてます? (2018年8月12日 22時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
らつ - 初めて読みました!!最高です!更新楽しみにしてます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 84c9675812 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななな | 作成日時:2018年7月20日 22時

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