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尾崎の言葉に敦は「え、知り合い?」と取り乱す。
そんな様子の敦を横目に私は彼の腰から顔を出す様に尾崎を視界に入れた。
「相変わらず愛しいのう…」
「えへ、久しぶり!」
うっとりとした柔らかな笑みを浮かべる尾崎に敦は引き攣った様な表情を浮かべる。
この時敦は直感的に先日会った町医者を連想したらしいが、理由としては私を見る瞳が同じだったらしい。
「鏡花を頼むぞ童。」
もう時期太宰が戻ってくる時間。
尾崎は鋭い瞳で敦にそう告げると私と2人で社を出て行く敦を見送った。
「久しぶりの2人きりの時間じゃ、
水いらずの話でもしようA」
「はぁ…」
敦が去った今、
社にいるのは私と尾崎のみ。
窓の外を眺める私に尾崎は静かに紅茶を飲みながらそう云った。
先程は敦が居たから表情にこそ出さなかったが、
尾崎は昔から森同様私を厭に可愛がる。
中身を知ってもなおそうするのだから早速重症なのだコイツらは。
「…随分と鏡花に執着するんだな」
「おや嫉妬かえ?嬉しいのう。」
「莫迦か。」
淡々と云う私に尾崎は嬉しそうに口角を上げる。
私がいるせいか機嫌が良い様に思えた。
私にも紅茶を薦める彼女に首を横に振れば「嗚呼、相変わらずの子供舌じゃったな、熟々可愛らしい。」と云う。
分かりやすく眉を寄せれば尾崎は自分語りの様に鏡花に執着する訳を話し出した。
「あの子はわっちの幼少期と重なる。
哀れな子じゃ…」
「御前は確か光を欲したんだったな。
…失敗に終わったが。」
先程の仕返しの様に云えば尾崎はその笑みを崩さずに頷く。
しかし尾崎は「でも他にも理由はある」と付け足した。
「御主じゃ、A。」
「…ほう?」
頬杖をつきながら云えば尾崎は細めた瞳で私を見る。
…尾崎は鏡花と同じ様に私に執着していた。
それは今も変わらない様だ、と彼女の瞳を見つめながら私はため息をつく。
だから
コイツらは一般人より鬱陶しいし、厄介だ。
「…マフィアから消えた私を随分と探した様だな。」
「勿論。でも数年後太宰が組織を裏切ってから理解をした、御主は太宰が大好きだからのう。」
__鏡花が御主の様に私の元から消えるのは厭だった。
そう云って尾崎は私を眺めた。
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ぽん酢(プロフ) - 凄い面白かったです!更新待ってます!! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 294c8f425c (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - 最高です!続きがめちゃ気になります!頑張って下さい!応援しています! (2018年8月13日 13時) (レス) id: b31c3f6b99 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - 最ッ高です! 更新頑張ってください!! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 430739def7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 題名って「この素晴らしい世界に祝福を!」これ参考にしてます? (2018年8月12日 22時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
らつ - 初めて読みました!!最高です!更新楽しみにしてます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 84c9675812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2018年7月20日 22時