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「今のうちに逃げて!」
「兄様!」
いつの間にか現れた谷崎を見て私は細雪を使ったのか、と納得する。
車を降りた私達は途中停車している汽車の所まで逃げる事になり、
私はナオミに手を引っ張られながら道路を走った。
握られた手を見つめて邪魔だなぁ、と思いながら前を走る2人を見つめる。
ラヴクラフトを打った様だが恐らく彼奴は直ぐに回復するだろう。
このままちんたら走ってたら直ぐに拘束されてしまう。
「ねーナオミ」
「ど、どうしました?」
「汽車まであとどれくらいなのー?」
私の緊張感の無い質問に若干戸惑いながら
「500米先を曲がった崖を下った所ですわ」と答える。
私はそれを聞いて「ありがとナオミ!」と云ってから言葉を続けて「春野とも手繋ぎたい」と云う。
こんな緊急事態に、?と云う顔をした春野だが不安気に見つめれば快く快諾してくれた。
…よし。
「…
春野と手が繋がった瞬間、
私がそう呟けば景色が一気に変わり崖へと足が付く。
昔コピーした瞬時に場所を移動する異能。
しかし制限が800米までと直進であることが条件だ。
状況を理解できていないナオミ達の手から離れ、
私は崖の下にある汽車を横目に2人の方へ振り返った。
「早く行こ!!!」
*
「眠い早く仕事終わらせなきゃ…」
国木田に打たれ倒れた筈のラヴクラフトが起き上がった頃。
ジョン・Sはその隙を突いて谷崎の拘束と逃げた3人の気配を探っていた。
まだ遠くない道を走る3人を感知した彼は植物を駆使して捉えようとした瞬間、ある異変に気付いた。
「(気配が消えた!?)」
ジョン・Sは焦りながらも周辺に神経を集中させれば3人は500米程離れた先の崖に居ることが分かった。
その近くには汽車の気配がする事から逃亡の兆しが垣間見える。
「初めから彼方も異能持ちね…卑怯な手を使うね探偵社。」
「は…?」
首を傾げた谷崎に根の力を強めながらジョン・Sは
相手の異能は移動距離に制限があることを推測して、崖に根を巡らせる。
1人2人…と足首を捉えながらジョン・Sは谷崎を挑発するが、谷崎は怯むどころか虚ろな目で此方を見るだけだった。
「…?」
その自信に首を傾げるジョン・Sは迫り来るトラックと共に3人に張った根にもある異変を感じた。
(いつの間にか1人の気配が無い…?)
異能無効化と云う言葉が浮かんだと同時にその場に居る全員がトラックと衝突した。
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ぽん酢(プロフ) - 凄い面白かったです!更新待ってます!! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 294c8f425c (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - 最高です!続きがめちゃ気になります!頑張って下さい!応援しています! (2018年8月13日 13時) (レス) id: b31c3f6b99 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - 最ッ高です! 更新頑張ってください!! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 430739def7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 題名って「この素晴らしい世界に祝福を!」これ参考にしてます? (2018年8月12日 22時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
らつ - 初めて読みました!!最高です!更新楽しみにしてます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 84c9675812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2018年7月20日 22時