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「ふっ、久しぶりに良い物を見たな。」
「くふふ…嗚呼、中也を揶揄うのは辞められない」
拷問室を出てきた者とは思えない表情で出てくる私達は、
太宰の策にまんまと嵌められた中原が内股で「二度目は無くってよ!」と出て行く様を拝む事が出来た。
そこら辺の娯楽よりよっぽど面白いものを見れた私は心底愉快に笑う太宰を横目に此処に入る際に気絶させた黒服を見据えた。
「…今回は中原に免じて私を口実に使った事は許してやろう。」
「それはそれは、安心しました。」
飄々とした笑みで云う太宰は地上に上がる際に「これから彼方に用があるので」と云って情報機密室の方を指差す。
「きっとAさんは黒幕は知っているでしょうけど一応確認ですよ。」
「そうか。」
そんな太宰を見届けた私は、中原の指示で撤退したであろう黒服の居ないフロントを堂々と通りポートマフィアを跡にした。
…と云っても。
「探偵社への云い訳をどうするか…」
都市の真ん中に戻ってきた私は頭を捻る。
太宰はまだ情報を探っているだろうが…
私は一応御使いに行ったっきり失踪になっている頃。
マフィアに捕らえられた、と云っても良いが同じ様に捕らえられた太宰と帰りが別で無傷なのもまた怪しまれる。
ふむ、こう云う時は_
「うぅ〜お巡りさん…」
「おやおや、もしかして迷子かな?」
大粒の涙を流しながら交番に駆け込めば、
お巡りさんは優しい顔をして私の顔を覗き込む。
「誰と迷子になっちゃったのかな?」と云うお巡りさんに私は態とらしく嗚咽をしながらゆっくりと話した。
「あのね、御使いねしてたらね…知らないおじさんにね、おてて掴まれて、!逃げたら…」
「道わかんなくなっちゃった"あ"〜!!」とまた泣き出せばお巡りさんは少し焦った表情で、それは大変だと云った。
住んでる場所が武装探偵社と云えばお巡りさんは探偵社に連絡してくれて迎えに来てくれる事になった。
…こう云う時に幼児は使えるな。
*
「Aちゃん!大丈夫ッ!?」
「あつし…!」
数分後。
息を切らして迎えに来たのは敦で、
私は待合室の椅子から飛び降りて敦の懐へと飛び込んだ。
「無事でほんとに良かった…!」
「怖かった…」
我ながら完璧な演技にお巡りさんも敦も気付かずに、この件は丸く収まり探偵社に無事戻れる事になった。
「あ、Aちゃんに紹介したい子が居るんだ。」
「うん…?」
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ぽん酢(プロフ) - 凄い面白かったです!更新待ってます!! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 294c8f425c (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - 最高です!続きがめちゃ気になります!頑張って下さい!応援しています! (2018年8月13日 13時) (レス) id: b31c3f6b99 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - 最ッ高です! 更新頑張ってください!! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 430739def7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 題名って「この素晴らしい世界に祝福を!」これ参考にしてます? (2018年8月12日 22時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
らつ - 初めて読みました!!最高です!更新楽しみにしてます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 84c9675812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2018年7月20日 22時