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身構えた谷崎はナオミを守る様に。
敦は私を背中に隠しながら酷く震えていた。
「…人虎以外には残念ですが、
この場で死んでもらいます。」
「なッ…!」
その瞬間、樋口が構えた二丁拳銃からは火花が散り、辺りに無数の弾丸が撃ち込まれる。
金属を弾く様な音の嵐が終わると、黒煙と共に先程まで谷崎の後ろに居たナオミが血濡れで樋口の前に立っていた。
「ナオミ…!!!!」
「お、にい…さま…無事で、よかっ…た、。」
消え入る様な声で谷崎の腕の中で倒れるナオミに、
谷崎は怒り狂った様にその名を叫ぶ。
路地に響くその声に敦は私を抱えながら酷く震え、目の前の恐怖に戦慄していた。
「よくも…!ナオミを傷付けたね…!?」
「っ!?」
樋口が銃口を谷崎に向けた時、
辺りには突如雪が降り始め淡い緑色に染まる。
「(ほう…幻想の異能か。)」
谷崎に触れておいて正解だったな、と思っていると谷崎は樋口の喉笛を掴み、憎しみに囚われた顔で腕に力を入れた。
樋口の意識が遠退き、腕の力が抜ける寸前。
誰かの咳き込む音と共に場の空間が断裂され、
谷崎の背中を貫いた。
「あ、あれは…!」
「(凶狗のお出ましか…)」
口から血を吐く谷崎の背後から、黒い外套が揺らぎ辺りは邪悪な雰囲気に包まれる。
咳き込む樋口は途切れ途切れに「芥川先輩」とその口を開いた。
芥川。
その名を聞いた瞬間に敦の鼓動が早くなるのを感じる。
私を抱える手は先程の比にならない程震え、冷や汗も止まらない様だった。
「僕は芥川__」
丁寧に自己紹介をする彼に敦は私を抱えたまま奥へと走る。
行き止まりなのにどうしようも無いその行動に呆れるが人間味のある行動に自然と口角が上がる。
そして、頼りない足で立った敦は「僕が、Aちゃんを守らなくちゃ…」と云って私の前に立ち、芥川に突っ込んで行った。
「玉砕か…詰まらぬ。」
そんな敦の行動を芥川の異能、羅生門で遮ろうとするが敦は下に滑り込みながら樋口の銃を持ち、背後から迎撃をした。
芥川からは路地の奥に居る私の顔は暗くて見えないらしく、目の前の敦だけ見据える。
勿論、空間を操る羅生門に物理は不向き。
銃弾を飲み込んだ異能に敦は絶望を瞳に宿した。
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ぽん酢(プロフ) - 凄い面白かったです!更新待ってます!! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 294c8f425c (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - 最高です!続きがめちゃ気になります!頑張って下さい!応援しています! (2018年8月13日 13時) (レス) id: b31c3f6b99 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - 最ッ高です! 更新頑張ってください!! (2018年8月13日 0時) (レス) id: 430739def7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 題名って「この素晴らしい世界に祝福を!」これ参考にしてます? (2018年8月12日 22時) (レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
らつ - 初めて読みました!!最高です!更新楽しみにしてます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 84c9675812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2018年7月20日 22時