5 ページ12
．
「…はぁ、」
別室、と言っても会議室なので
いつもの硬い椅子と違って若干柔らかい革のイスに私は腰を下ろした。
蛍光灯の光にかざすように手を上げて私は意味もなくむすんでひらいてを繰り返した。
「…おばあちゃんにも心配かけちゃったな。」
よく面倒を見てくれるのはおばあちゃんはお父さん側の方でお母さん側は地方に住んでるからあまり会わない。
お父さんそっくりの顔のおばあちゃんは明るくてよく元気をくれる。
おじいちゃんも優しくて2人とも大好き。
「人に危害を加えた、なんて言ったらどんな顔するんだろう。」
後々こんな気持ちになるならあの時黙っていた方が敵善だったかもしれない。
しかし一時感情が高ぶると抑えられないのは昔からなので反省しなくちゃと思った。
……お父さんに顔合わせにくいなあ。
元々あまり顔は合わせないけど、
一緒に住んでいる以上は関わるので気が重くなった。
もし、相手の親が私に文句言いに来たらどうしよう。
必然的に保護者のお父さんが謝ることになってしまうのでそれはとても怖いことだった。
ヒーローの娘が人に危害を加えた。
そんな事マスコミの人が拾ったらお父さんは迷惑どころの話じゃない。
「……どうしよう。」
途端に不安になった心はドキドキと音を立てる。
いつのまにか眉間に寄ったシワは物事の重大さを物語るように深く刻まれていた。
私の、せいで＿＿、、
苦しくなる息に大きく上下する肩。
顔はきっと青ざめているだろう。
会議室の時計の針音ひとつひとつが
私の心を刺激して揺らした。
「爆豪さん〜お迎え来たよ。」
会議室のドアが大きく音を立てて
私はびくっと怯えるように顔を上げた。
すると先生が私の方に来て申し訳無さそうな顔で小さく囁いた。
「おばあちゃんに電話繋がらなくて…
止むを得ずお父さんに連絡したんだけど大丈夫かな？」
「…ぇ、お父さんが、来たんですか？」
「うん、出来事が出来事だから親御さんに事情を連絡するのが義務なんだけど私から話す？
それとも爆豪さんから話したい？」
息が詰まるのが分かった。
お父さんが学校に来ている、すぐそこにいる。
私は、私はどうすれば＿＿
「爆豪さん、個性を使ったことは悪いことだけど
きっとそれは何か理由があったからだよね？」
「…」
「理由があるのに誰もはなから怒ったりしないよ。
…お父さんもきっと。」
＿お父さんを信じてみない？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 803人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とた - 爆豪君がめちゃくちゃ理想のパパで、読む度にしんどいです߹𖥦߹ 大好きです……！！更新お待ちしています！！ (2021年10月26日 23時) (
レス) @page19 id: c64444001a (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すごく面白いです。更新待っています (2021年5月30日 12時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - かっちゃんパパめちゃ好きです！更新楽しみにしてます〜 (2018年6月6日 21時) (レス) id: b37c094aac (このIDを非表示/違反報告)
milk - かっちゃんのお父さん姿が理想過ぎて殺られました...(/_;)/~~大好きです!!!更新楽しみにしてます!!! (2018年5月31日 18時) (レス) id: 2e49390f17 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 読む度にかっちゃんの父親感に感動して泣きそうです… (2018年5月29日 0時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななな | 作成日時：2018年5月25日 18時
