煉獄さんの貴女日記 (ページ2)

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『今日の任務は単独だった。
帰る時はいつものように朝だったが、Aの顔がふと浮かんだ。幻だろうと思っていたら、どんどんと前にAが見えてきた。』

あぁそうだった。何度かこういうことがあった気がする。
決まって彼は大きな声でAを呼ぶ。その際必ずと言っていいほど毎回片手を上げていた。

「A！」
「？、杏寿郎さん！」

『親が決めた婚約とはいえ、幼なじみ同士仲良く出来て嬉しい。君が俺に微笑みかけている時ほど、嬉しいものは無い。そして君は、俺に会う度にこう聞くんだ。』

なんだったか、Aは、はてなを浮かべた。

「お怪我はございませんか？」
「よもや、万事大事なし！」
「それは良かったです」

他愛もない、変哲もない会話だった。

『君を前にしていると、いつも聞けないことがあるんだ。どうして、俺を離すような、敬語で語るんだ。昔のように、話してはくれないのか。』

どうして彼はこんなに気持ちをあらわにしているのにだろうか。そもそも彼は、杏寿郎さんはこんな人だったんだろうか。不思議だ。