忘れさせてあげる(煉獄杏寿郎) (ページ6)

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豪雪の夜。
辺りはいつも以上に何も見えない。松明を付けても強風で意味が無い。

「…ッ、苦戦しそう」

どこか味の悪い覚悟を決め、Aは刀の柄をそっと撫でた。

「‎ｷｬｧｧｧッ！」
「ｯ、何？！」

耳をつんざく叫び声が聞こえた。
声が聞こえた方を記憶の通りに進むと、そこには鬼が鬼殺隊員を弄んでいた。

「花の呼吸肆の型紅花衣」

鬼の手から隊員を助け出した。

「大丈夫？！」
「、は、はいｯ…！」
「危ないから下がってて」

目の前を見るだけでやっとなのに、鬼の首が切れるのか。Aは冷や汗をかいた。

(もしかしたら、これが最期かもしれない)

良く働く勘がそう教えてくれる。

(最期に、会いたかったな…)

Aは哀しみを今は忘れ、相手に集中した。

「うっひゃー！また玩具が増えたー！」
「ゴミカスが」

花の呼吸を繰り出すけれども、相手はひらりと交わし。

「んーでも君、なんか俺の好きな容姿じゃないなー」
「好かれなくて結構」

一瞬の隙を見つけたAは、切るよりも1度弱らせた方が勝算が上がると感じ、刀を真っ直ぐに持った。
そのまま思い切り前へと突き出したが、

「もういいや、さっきの子追いかけるから君はここで、ね？」

鬼は、Aの刀の上にひらりと着地し、パキりと軽い金属の音を鳴らせて折った。