忘れさせてあげる(煉獄杏寿郎) (ページ4)

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とは言ったものの。
一向に煉獄には相手されないA。

「煉獄さん！」

「すまない！」

呼びかけてもとうとう逃げられる始末。
どうしようもなくなったとき、勢いで煉獄さんの後を追ってしまっていた。

着いた先は、墓地だった。
手を合わせる煉獄。その主は、雫石家と書いてあった。

「雫石梨瑠 ……」

思わずそう呟いた。すると、微かに煉獄が力なく笑った。

「俺は君の気持ちを受け取れない。俺はもう恋はしないんだ」

「……過去に引き摺られてるんですか？」

「……ｯ、」

立ち上がった煉獄はAに見向きもせずに踵を返した。

「前を向いてください、煉獄さん！私じゃだめなんですか？！雫石梨瑠さんはもう居ないんですよ？！忘れましょうよ！」

気持ちのままそう叫ぶと、煉獄は青筋を浮かべてAに言い返した。

「よもや、君のような失礼な少女には分からないだろうな。彼女は儚く、強かで、理想だった。だからこそ、忘れることはできない！諦めてくれ！」

「諦めてと言われても、私が必ず忘れさせてあげます！だから……」

「無理だ！」

煉獄はどこか梨瑠を貶されたかのように感じ、そのまま任務に向かっていった。

我に返ったAは、

「私ｯ……最低だ……」

と、膝から崩れ落ちてしまった。