煉獄杏寿郎は好きと言いたい (ページ24)

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やらかしたシンデレラページ24

とうとう、煉獄たちのシンデレラが幕を開けた。
台本通りにことが進み、煉獄が王子となり、ゆいがシンデレラとなった。
そして、シンデレラをダンスに誘うところだった。

「王子、どなたかいいお嬢様はいましたか？」

煉獄はゆいの元にいき、『ダンスを踊りませんか？』と聞いた。はずだった。ゆいの顔をじっと見たかと思えば、くるりと踵を返した。
焦ったゆいは煉獄の腕を掴んだ。

「王子？！」

煉獄は冷静に見えたが、ゆいにだけは見えた。じんわりと汗が滲んでいたことを。緊張しているだけだと思ったゆいはアドリブをいれた。

「どうなさいましたか？」

台本に無いセリフだと察した煉獄は、合わせた。

「すみません、ご令嬢。俺の想いを寄せる人に似ていたものでして」

と言いながら、彼女の腕を解いた。
ぽかんと口を開いたゆいは我に返り、「なんですって？！」

「想いを寄せる人がいらっしゃったの？！」

と、会場全体もえーっ、と悲鳴が湧いた。
煉獄は舞台の真ん中に立つと、すぅっと息を吸った。

「こんな素晴らしい舞踏会を開いてくださって、すまない！俺はずっと前から好きな人がいる！」

その時、煉獄の場所から、2階の教職員が居る座席に梨瑠が見えた。
煉獄はビシッと指を指すと、「待っていて下さい！いつか必ず、迎えに行くと約束します！」
と颯爽と宣言し舞台から出ていってしまった。

シーンと静まり返る会場に、アナウンスから宇隨が気を利かせた。

「こ、こうして〜……王子は自分自身の好きな人を思い出し、数年後、その人と結ばれましたとさ〜……めでたしめでたし」

呆然とした舞台に幕がゆっくりと降りた。