記憶その54 ページ7
目の前の男が突如言い放った言葉に目を丸くする
br「A様、私と一緒に来ませんか」
こいつ……いきなり何？
ルベルト家の殲滅が目的なんじゃないの？
こいつが何をしたいのかいよいよ分からなくなってきた
『貴方、一体何をしにここへ来たの』
br「おや、これは失礼。まだここへ来た理由を話していませんでしたね」
わざとらしい笑みを崩さぬまま、また一歩近づく
br「私はあなたをガトラン国へ連れ去るためにここへ来ました」
『は？』
予想もしていなかった言葉に思わず声が漏れる
本当は薄々気づいていた
気づいていたけどそこから浮かび上がる疑問が違和感が我を忘れさせてしまいそうで分かりたくなかった
br「A様のデビュタントの時でした」
バルトはあの時を懐かしむように続ける
br「従者に話かけるあなたの他の貴族に向けるのとは違う無邪気な笑顔を見て思ったんです。この笑顔自分の手でグチャグチャにしてやりたいって」
今まで下を向いていたバルトと目が合う
瞬間、感じたことのない悪寒が全身に走る
ここで初めてバルトを怖いと思った
バルトの言った言葉にじゃない
初めて嘘偽りなく嬉しそうに笑う顔がとても恐ろしく思えた
でもそんな恐怖よりもある違和感の怒りの方が遥かにそれを上回る
そんな怒りを抑えられる訳がなく半ば叫ぶように吐き出す
『それじゃあ……それじゃあ私だけ連れて行けばよかったじゃない！！どうして周りの人を巻き込んでまでこんな事……!!』
バルトは当然と言うような顔をして答える
br「そんなの腹が立ったからに決まってるじゃないですか。折角婚約の話も順調に進んでいたのにいきなり破棄されて、立てていた計画が全部台無しだ。こうなったら蹂躙するしかないでしょう？私こう見えて脳筋なんです」
バルトの口が怪しく弧を描く
狂ってる
こいつはきっと自分の思い通りにならない事が嫌なんだ
私達が自分の計画通りに動かなかったからこうやって大切な人達を殺して………
br「何度も言うようですが貴方達が悪いんですよ？大人しく従っておけばいいものを……自業自得と言うやつですですね」
再び私の中で何かがプツンと切れる
br「あなたを連れ去る理由は他にもありますがまあそれは後で話します。行きましょう、時間がありません。私達まで焼き焦げてしまいます」
手から血が滲み出そうになるくらい強く拳を握りしめる
『そう………長い自己紹介ありがとう。貴方が同仕様もないクズ野郎だって事はよーく分かったわ』
br「あ？」
私は今から
『今から貴方を』
人を殺すために魔法を使う
『殺します』
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ごまプリン(プロフ) - 紗由さん» はじめまして！ありがとうございます！作りたての時から書きたいなと思ってたので面白いと言っていただけて良かったです！次の過去編も楽しんでもらえるよう頑張ります！！ (2021年6月7日 22時) (
レス) id: 6ebd880c68 (このIDを非表示/違反報告)
紗由(プロフ) - はじめまして。こんにちは。夢主ちゃんの過去編面白かったです！学校で朝通知がきて放課後までずっと楽しみでした!tntnさんたちの過去編も楽しみにしてます！ (2021年6月7日 16時) (レス) id: 0ea605d8d3 (このIDを非表示/違反報告)
ごまプリン(プロフ) - CO2さん» ありがとうございます！大好きと言ってもらえてめっちゃ嬉しいです！！亀さん更新は中々直りませんが（泣）完結に向けて頑張ります！！ (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6ebd880c68 (このIDを非表示/違反報告)
CO2(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品大好きなので、亀更新でも続きを書いてくださるだけで凄く嬉しいです！！これからもごまプリンさんのペースで無理なく更新していってください(o_ _)o (2021年1月11日 6時) (レス) id: 55ea3c243b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ごまプリン | 作成日時：2020年12月29日 2時
