りょうたとお母さん ページ42
彼はベッドの横にしゃがみ込んでいた俺に、しっかり目線を合わせてくる。
「君が宮舘涼太くんだね……迎えにきたよ」
「あの……」
「あれ、なんかビビってる……？ ちょっとタッキィちゃんと俺が今日くるって説明してたぁ？」
「あ、わり、そこまで手回ってなかったわ」
「昔っからどっか抜けてんだから……あ、驚かせちまってごめんな、俺は涼太君がこれからいく、施設の中間管理職」
「ちゅうか……」
「そそ、しがない板挟み社員」
「いた、ば……？」
「おい大野。小１に『中間管理職』なんて伝わるわけねーだろ、何年この仕事やってんだ」
「えぇだってタッキーが、涼太は大人の事情の言葉の発達が変な方向で早いってぇ……」
「それはそーいう意味じゃねーよ……誰が悲しい大人の昇進事情に詳しいって引き継ぎしたんだよ、つか分かってていってんだろお前」
「あーっはは……バレた？」
頭の後ろをぼりぼりと掻きながら、その人は改めて手を差し出した。
「俺は大野智先生っていいます。児童養護施設、朝焼け荘の先生です。よろしくな、涼太」
「あさやけ、そう」
「そう、涼太の新しい居場所」
「俺の、居場所……？」
母親にすら見捨てられたのに？
「こーら、お前今、悲しいこと考えたろ」
「なんで……？」
「眉間に皺寄ってるし、それに顔がさみしそうだ」
そういいながら、ぐりぐりと彼は容赦なく眉間をいじった。少しだけ痛い。……痛いのには慣れてる筈なのに、慣れない刺激で、なんか嬉しい。
「少しはえーけど、お帰り、涼太」
人好きする柔らかい笑みで、大野先生はそう言った。そして荷物を纏め終わった俺の手を引きながら……「朝焼け荘」に帰ってくれたんだ。
拝啓 俺のお母さんだった人。
りょうたは元気です。なので、あなたも元気でいてください。
どうか、お幸せに。
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リムる(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！何度も読めるなんて寧ろラッキーって感じです！いつも素敵なお話で何度も読み返してます。無理のない範囲で頑張って下さい！ (2020年8月9日 19時) (
レス) id: b5e023cd9b (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - リムるさん» リクエストありがとうございます！本編中にも似たようなお話が登場してしまうのですが、内容が多少被っていても大丈夫でしょうか、レパートリィ少ない作者ですみません！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - 柿ちゃんさん» リクエストありがとうございます！無理しちゃう健気なskくんを一生懸命書かせていただきますので、少々お待ちください！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
KUMA(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 0b66efa19b (このIDを非表示/違反報告)
阿部月姫(ｶｸﾞﾔ)(プロフ) - 千晴さん» レスありがとうございます！ はい！大丈夫です！！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 2beffc3723 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千晴 | 作成日時：2020年7月24日 1時
