たつやとひかる ページ31
「……猫のマーキング……？」
「それだ」
それだ。
三人の心が一つになった時、照は振り返った。その表情はやはり、不安で揺れてる。
「……ねえ、パパと、ママは……？」
その一言で、フロア全体に緊張が走った。感じたことのない空気に、辰哉も自然と肩がピクリと上がる。智先生が言葉を選びながら、ソファーにいる照の前に腰を落とした。
「……照の父ちゃんと母ちゃんはな、俺らにバトンタッチしてくれたんだ」
「ばとん、たっち……？」
「うん、照のことをちゃんと大人にするっていうお仕事。父ちゃんと母ちゃんは、もうできねーから、だから……」
「しってるよ」
「え？」
急に、照の声が震えた。そしてその場に縮こまったと思ったら、ボロボロと雨粒ような涙を両目から流して「うわぁぁぁ」と泣きじゃくりはじめた。
「うえぇぇぇ、うわあああん……グッス、ヒッあぁぁぁ……ぱぱぁままぁ……しんじゃったよおぉぉ……うわぁぁぁ……」
照は恐らく、ここにきてようやく実感したのかもしれない。今まで、夢か何かであって欲しいと、思っていた事実を、やっと現実のものとして感じたのだろう。
両親は、もう帰ってこない。会えない。もう二度と。
だって、自分の目の前で死んでしまったから。
辰哉は思わず近づいて、不器用な手つきで照の頭を撫でた。智先生にやって貰ったことを真似しながら、手探りで。どうにもできないけど、どうにかしてやりたくて。
「照、寂しいのか？ 大丈夫だよ、だってここには翔先生も智先生も、今日はお休みだけど、相葉ちゃん先生だって、おれも、いるし」
「いやだぁぁぁいらないいぃぃ」
「要らないって……。だってどうしようもないじゃあん」
ヤバイ、自分が泣きそうだ。心なしか、足がズキリと痛む。自分が両親に捨てられた象徴のような、足が。
照が両手で頭を抱え込んで、頭を振り回すように「いやだあいやだあああ、こわいよおぉぉ」と泣き始めた。いよいよ、辰哉ではどうにも出来なくなる。
「大丈夫だって、だって、俺が照の兄ちゃんになるんだぞ、寂しくなんかないんだからさ！！」
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リムる(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！何度も読めるなんて寧ろラッキーって感じです！いつも素敵なお話で何度も読み返してます。無理のない範囲で頑張って下さい！ (2020年8月9日 19時) (
レス) id: b5e023cd9b (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - リムるさん» リクエストありがとうございます！本編中にも似たようなお話が登場してしまうのですが、内容が多少被っていても大丈夫でしょうか、レパートリィ少ない作者ですみません！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - 柿ちゃんさん» リクエストありがとうございます！無理しちゃう健気なskくんを一生懸命書かせていただきますので、少々お待ちください！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
KUMA(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 0b66efa19b (このIDを非表示/違反報告)
阿部月姫(ｶｸﾞﾔ)(プロフ) - 千晴さん» レスありがとうございます！ はい！大丈夫です！！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 2beffc3723 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千晴 | 作成日時：2020年7月24日 1時
