まどろみのなかで ページ23
さて、今日も今日とで俺は頭痛と脳みそを溶かすような熱でぼんやりする頭に、嫁たちの声を入力している。昨日智先生に「新しい弟」が出来ると聞いて、嬉しすぎて興奮してしまい、朝方高熱を出した。あれよこれよと病院に運び込まれ、検査のために喉を覗かれレントゲンを撮られ、鼻に棒をつっこまれ……そうこうしている間に、俺はやはり「新しい弟」を家で出迎えることは出来なかった。
帰宅して俺を出迎えたのは、いつもの毛布の感触と、エアコンのフル稼働の音。しゅーと常に唸り声を上げている加湿器。ただいま俺のホームグラウンド。そしておかえり頭痛と寒気。
はぁ、と吐き出した息は熱くて重い。頭はガンガンと痛むし、寒いのに熱い。身体は鉛のようだ。……しんどい、だるい。
サラリと俺の汗で湿った前髪が払われる。少し浅黒い肌は、俺にとっては慣れしたしんだもの。
「……さくま？ きつい？」
「……うん、ちょっと」
素直に答えたら、亮平は眉間にしわを寄せて黙ってしまった。ちょっと後悔、亮平は心配性だから。
「氷枕とりかえよっか？」
「うにゃ、まだへーき……あんまり頻繁に変えても、硬くて、寝にくい」
「それもそうか」
あ、やっと亮平の口角が上がった、あ、また元の位置に視線戻した、とぼんやりした視界が伝えてきた。
横向きで寝ている俺の上を向いている耳にはしっかりイヤフォンが差し込まれていて、DVDプレイヤーは横になっている俺でも見やすい、ベストポジションに置かれている。俺の耳についているイヤフォンの線は上を向いていて、片一方は亮平の耳に収まっていた。……いつもこうして、亮平は大して興味がないはずなのに、俺と一緒にアニメをぼんやりと眺めてくれていた。病床の俺と、世界を共有するように。今では、亮平と一緒に歌えるアニソンのレパートリーは随分と増えている。嫁たちの声に混ざって聞こえてくる、亮平の低い声は心地いい。
「俺と一緒にいてつまんなくない？」と昔聞いたことがある、その時の亮平は、確か無表情のまま首を傾げて「……は？なんのこと？」と言っていた。その表情の真意はわかんないけど、俺は何となく、それ以来詮索するのをやめた。それに、人肌が恋しくなる俺にとって、傍にいてくれる亮平の存在は、やはり大きかったのもある。
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リムる(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！何度も読めるなんて寧ろラッキーって感じです！いつも素敵なお話で何度も読み返してます。無理のない範囲で頑張って下さい！ (2020年8月9日 19時) (
レス) id: b5e023cd9b (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - リムるさん» リクエストありがとうございます！本編中にも似たようなお話が登場してしまうのですが、内容が多少被っていても大丈夫でしょうか、レパートリィ少ない作者ですみません！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - 柿ちゃんさん» リクエストありがとうございます！無理しちゃう健気なskくんを一生懸命書かせていただきますので、少々お待ちください！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
KUMA(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 0b66efa19b (このIDを非表示/違反報告)
阿部月姫(ｶｸﾞﾔ)(プロフ) - 千晴さん» レスありがとうございます！ はい！大丈夫です！！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 2beffc3723 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千晴 | 作成日時：2020年7月24日 1時
