大きいお兄ちゃん ページ21
「翔太、ラウール吐いた」
短く、涼太がそういうと「分かってる」とでも言いたげに、翔太はバスルームからバケツと雑巾やらを素早く持ち出してきた。その表情はしまっていて、普段の翔太や涼太じゃなくて……頼もしくて、泣きたくなる。
「うっく……ひっく、あう……うえぇ……」
「ヤベ、はいちまったか……辰哉、離れろ」
「智先生、消毒液使う？」
「大丈夫だよ智先生……翔太も。俺、兄ちゃんだから、ちゃんと俺が最後までみてやりたいの……」
辰哉は着ていたカーディガンで、ラウールの口元を優しく拭ってやる。すると、ラウールが辰哉のことを後ろから見上げた。
「たちゅや、くん……？」
あどけなくて、心細そうな、迷子の子供のような声。ふわりと辰哉は微笑むと、優しく少しだけ抱き上げた。
「うん、そう、深澤辰哉くん。ラウの兄ちゃんだぞ？ 友達からは、ふっか、なんて呼ばれてるんだ」
「ふっか、しゃ……」
「お？ ラウはそう呼んでくれるの……？ すっきりするまで、吐いちゃっていいからな、ラウール。我慢すんなよ」
そういいつつ、辰哉はチラリと俺を見た。そして口で「だいじょうぶ？」と言葉をなぞる。俺は、少しこーいう場面の耐性が、みんなよりもないから。結構、「フラッシュバック」で吐いちゃうこともあるし、多分辰哉はそれを心配してくれてる。
ラウールを不安にさせたくなくて、これ以上辰哉を心配させたくなくて、「情けない兄」の俺は、黙って頷いた。
……うん、俺、もっと強くなりたいな。
nb「辰哉、そのカーディガン、もう雑巾いき決定だからな」
fk「……え？…………マジでいってる？ これお気に入り、なんだけど……佐久間も気に入ってるから、たまに貸してやったりもするしそれに」
nb「問答無用。ゲロ拭くならそれくらいの覚悟を持て」
fk「しんらつぅ！！！ あと重ぉ！！！！」
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リムる(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！何度も読めるなんて寧ろラッキーって感じです！いつも素敵なお話で何度も読み返してます。無理のない範囲で頑張って下さい！ (2020年8月9日 19時) (
レス) id: b5e023cd9b (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - リムるさん» リクエストありがとうございます！本編中にも似たようなお話が登場してしまうのですが、内容が多少被っていても大丈夫でしょうか、レパートリィ少ない作者ですみません！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
千晴(プロフ) - 柿ちゃんさん» リクエストありがとうございます！無理しちゃう健気なskくんを一生懸命書かせていただきますので、少々お待ちください！ (2020年8月5日 21時) (レス) id: 36259cee76 (このIDを非表示/違反報告)
KUMA(プロフ) - 千晴さん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 0b66efa19b (このIDを非表示/違反報告)
阿部月姫(ｶｸﾞﾔ)(プロフ) - 千晴さん» レスありがとうございます！ はい！大丈夫です！！ (2020年8月5日 13時) (レス) id: 2beffc3723 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千晴 | 作成日時：2020年7月24日 1時
