◆きっかけは些細で ページ3
有岡side
着替えて、コンビニ行って、適当に買って、帰ってくる。
ぱぱっとメモを書いて、すやすやと眠るいのちゃんの枕元に置く。
…昨夜、思わず首元につけてしまったキスマークを指でなぞって、息を吐いた。
「……、俺なら、いのちゃんのこといっぱい笑わせてあげれるのになぁ」
寝息を立ててぐっすり眠ってる彼にはもちろん届かなくて。
泣きながら“光くん”の名前を零すいのちゃんと初めて体を重ねた日から、また何も変わらないまま。
「行ってきます」
寝てるのはわかってるけど、小さくそう呟いて俺は部屋をあとにした。
あの日、酔った勢いでなんていうのは真っ赤な嘘で、俺はいのちゃんのことが好きでやったことだ…なんて言ったら彼はどんな顔をするだろうか。
·
「いのちゃん、飲みすぎ。…終電も逃しちゃったしどうすんの…」
「いーよぉ……なんとかなる…」
完璧に出来上がってるいのちゃんは、真っ赤な頬をテーブルにくっつけてる。
そんないのちゃんを無理矢理起こすと、嫌がって俺のパーカーの裾をぐっと掴まれる。
「帰りたくない…」
「ハイハイ可愛い可愛い。帰るよ」
「終電ないじゃん〜〜」
「いのちゃんのせいでね!!」
俺の腰の部分に抱きついてわーわー騒ぐいのちゃんに、ため息をつく。
お酒弱いのを知った上で止めなかった俺が悪い。
「…光ならもっと優しかった」
唇を尖らせてつぶやいたいのちゃん。
その言葉に、ぴくりと自分の肩が動いたのが分かる。
「…なんで光くんが出てくんのさ」
「光なら家まで送ってくれたもん」
「へぇ、いのちゃんは光くん大好きだね」
「うん、好き」
少し嫌味を込めた言葉だったはずなのに、返ってきた声のトーンは妙に真剣だった。
「…大好き」
伏せた彼の瞳に、綺麗な彼の瞳に、みるみると涙が溜まっていく。
「いのちゃ、」
「光じゃなきゃ、ダメだもん…」
「…俺が……慰めてあげようか?」
俺の胸の部分に顔を埋めていたいのちゃんの頭をふわっと撫でた。
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すず(プロフ) - たべっこさん» 返信遅れてすみません!だらだらと頑張っていきたいと思います!笑 (2018年4月2日 15時) (レス) id: eb8fe3defb (このIDを非表示/違反報告)
たべっこ(プロフ) - 新作嬉しいです!今後の展開が楽しみです! (2018年3月29日 21時) (レス) id: 330ed6c9f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すず | 作成日時:2018年3月24日 19時