【d!】かわいいパラダイス!!!

かわいい17 ページ20

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母親のその眼が昔から苦手で、嫌厭していた。しかし子供達の為に今は向き合わなくてはと思い、母親を真っ直ぐ見据える。


『養子縁組の手続きをする為、お母様の合意を貰いに今日は来訪しました。養子にする子供の人数は11人。現実的に考えると11人を養うのは難しい話ですが、私は彼等を責任持って養います。どうか、許可を下さい』


深々と座礼する。エーミールも一緒に深々と座礼してくれた。

沈黙が、リビングの空気を重苦しくする。


「良いわよ」


リビングに流れた重苦しい空気を、あっさりと薙ぎ払ってしまう一言。母親の返答に思わず顔を上げ、まじまじと母親の顔を見る。その表情は相変わらず何を考えているか分からない。


『……自分で頭下げといてあれだけど、正気なんですか???許可出すとしてもその覚悟を訊いた上で、最終的に許可を出すって感じじゃないんですか???養う人数11人ですよ???』


問い詰める私に対して、母親は快活に笑った。暫く笑った後、母親は優しく微笑んだ。


「Aちゃんがどれ程の覚悟を持っているかなんて、態々訊かなくても眼を見れば分かるわ。だから許可を出したの。まあ、条件は付けさせてもらうけどね〜」


母親の最後の言葉に、思わず顔を顰める。先程の快活な笑い声とは打って変わって、母親は口元に手を当てて優美に笑った。


「絶対条件は、最低月1でその子供達を連れて帰省する事よ。これ以外は特にないのだけれど、今の給料だと11人も養えないだろうから、私の元で働くと良いわ。家も今のでは小さいでしょうから、別荘を使うと良いわ。といってもこの2つはAちゃんの自由だけれど」


微笑みながら条件を告げる母親。何とも嫌な条件を付けてくるが、それで合意が得られるなら安いものだろう。

そして、職場と家を母親の管理下である場所に変えるという話。正直嫌だが、今の給料では長期間養えないのも、家が狭いのも事実。子供達の事をちゃんと考えるならば、どちらも変えるべきだ。


『職場と月収を教えてください』

「職場はAちゃんとエミ君の母校でもある、私立A学園よ。月収は大体50万位かしら」

『そこで働かせてください。後、家も別荘が良いですね』


月収50万は羽振りが良い。そんなの聞いたら即断即決だろう。

諸々の物事を終えて、早々に家を出る。しつこく母親が引き留めてきたが、子供達が家で待っているので一蹴した。婆やに見送られながらエーミールと一緒に家を出て、エーミールの車に乗り込んだ。

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