【d!】かわいいパラダイス!!!

かわいい16 ページ19

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現在、エーミールと一緒に私の実家に来ている。久々に帰った実家は昔と変わらず豪奢で、手入れが行き届いている。帰りたいと思っていれば、表情に出ていたのかエーミールに苦笑される。


em「Aさんが帰りたいと思う気持ちは分かりますが、法定代理人の合意が必要なのですから我慢してください」


雑に返事をした後、門を潜る。手入れされている庭を通って屋敷のインターホンを押せば、屋敷内から慌ただしい足音が聞こえ、玄関扉が開かれる。


「お、お嬢様!!!ご帰宅なされるのならご連絡してくださいませ!!!ご連絡あれば一層料理に手をお掛けしましたのに!!!」


久々の婆やの声は相変わらず暖かくて、婆やに会えた点に関しては来て良かったと思う。


『婆や久し振り。急に来てごめん』

em「急な来訪申し訳ございません」


2人揃って謝れば、婆やは優しく微笑んで屋敷内へと私達を促した。促されるがまま屋敷内へ入り、荷物をリビングの隅に置いて2人でソファに座っていれば、婆やが紅茶と茶菓子を出してくれた。婆やが入れてくれた紅茶は相変わらず美味しく、暖かい。

しかし早く用事を終わらせて帰りたいのも事実なので、紅茶を飲み終わった所で婆やに母親が居るか訊く。


「奥様ならそろそろこちらへ来ている頃だと思いますよ」


婆やがそう言った瞬間、リビングの扉が勢いよく開かれる。避ける暇もないままキツく抱き締められ、溜息を吐く。


「Aちゃん久し振り〜!!!お母さんAちゃんに会えてとっても嬉しいわぁ〜。エミ君も久し振りね〜、元気にしてた???」

em「ご無沙汰しております、理事長。お陰様で元気にしております」

「それは良かったわ。Aちゃんも元気にしてた???電話にも出ないしメールも返信してくれないから、お母さん凄く心配したのよ。あ、そういえばAちゃん、電話番号変えたでしょ???お母さんまた電話番号特定しないといけないじゃない」

『一度に複数質問されると答えづらいです。後電話番号特定しようとしないでください。また変えないといけないじゃないですか』

「Aちゃんが実家に帰らないのが悪いのよ???」

『そうですか。取り敢えず離れてください』


私から離れた母親は向かいのソファに座り、婆やが入れてくれた紅茶を嗜む。


「さて、悲しい事にAちゃんは用もなくここには来ないからね。何か用件があるから来たんでしょう???」


真っ直ぐに見つめる母親の眼は、相変わらず全てを見透かしているかの様で苦手だ。

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